2部分:第二章
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第二章
「人間誰しも欠点があるって聞いてるけれど」
「困ったもんだな」
皆はこう言う。だが当の芙美子はそんな話は全く気にしてはいなかった。しかも入っている部活は料理部である。そこでもやはりお騒がせ人物であった。
「・・・・・・あの室町さん」
「はい」
茶色のショートヘアに少し釣り目の女の子がにこやかな笑顔で応えていた。その明るい笑顔が眩しい位である。その彼女の前にいるのは難しい顔をした初老の女性であった。
「これ、何なのかしら」
「お好み焼きですけれど。今日の課題の」
「・・・・・・お好み焼きね」
先生は彼女が皿の上に持っているその七色というか色々な色が滅茶苦茶に混ざり合いカオスになっている何かよくわからない平べったいものを見て呆れた顔になっていた。
「それがなの」
「香辛料を効かせてみました」
「香辛料!?」
先生は彼女の言葉を聞いてまた眉を顰めさせた。
「それを効かせてその色なのかしら」
「そうですけれど」
「ええと」
特に青と緑と橙と紫に不気味なものを感じつつその彼女、芙美子に対して言うのであった。首を傾げていてそれが折れそうになってしまっている。
「それでその色なの」
「はい、そうです」
明るい顔で答える芙美子だった。
「そうですよ」
「そうですよって言われても」
先生の首は折れそうになったままである。
「ええと」
「美味しいですよ」
ここでまた明るい顔で言う芙美子である。
「ですから。どうぞ」
「美味しいのね」
「はいっ」
「ううん・・・・・・」
逡巡していた。はっきり言ってその外見は到底お好み焼きには見えないものだった。だからこそ困惑した顔で言うのである。だが。ここで彼女は己の責務を思い出すのだった。
「先生」
「ええ」
そうであった。彼女は教師なのだ。教師であればやるべきことは一つしかなかった。そして彼女は今それを選んだのだった。
「わかったわ」
「はいっ」
その言葉を聞いた芙美子の顔が満面の笑みになる。
「それじゃあ。是非」
「わかったわ。けれどね」
「けれど?」
「まずはよ」
先生はここで懐からあるものを取り出したのだった。そしてそれをいきなり飲んでしまったのである。灰色の烏賊にも苦そうなものだったがすぐに呑むのだった。
「今の何かしら」
状況を見守りながら周りのクラスメイト達はその薬を見て言う。
「あれお薬よね」
「ああ、あれ解毒剤よ」
「解毒剤!?」
「そうよ。何でも先生が知り合いの魔法使いか占い師に貰ったものらしくてね」
「魔法使いって」
また随分と怪しい存在が話に出て来ていた。それを聞いたクラスメイト達の中にはその顔を思いきり顰めさせている者までいた。
「何よ、それ」
「占い師だったかしら。何で
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