第九話 戸惑う心その十一
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「最後の最後までは」
「そうよね」
「姉さんも僕を」
「最後の最後まで守れるか」
「悩んでいたんだね」
「だから飲んでいて、そして」
「結論が出てその結論が」
姉を見て言った言葉だ。
「僕を守る」
「ええ、信じてね」
「そうなんだね」
「だから優花がそうであっても」
「いいんだね」
「じっくり悩んで苦しんで」
そうしてというのだ。
「答えを出してね」
「龍馬のことも」
「最後まで信じるか」
「信じるって怖いことだね」
「そうよ、信じることは裏返したら」
そうすればというのだ。
「裏切られるってことよね」
「信じている相手に」
「裏切られることはそれだけで辛いけれど」
「それが信じている相手だと」
「そうした相手にそうされるとね」
「余計にだね」
「辛いからね」
優子は弟に言った。
「だからね」
「龍馬はそんなことしないってわかっていても」
「それが怖いでしょ」
「うん、若しもね」
「裏切られたらって思ったら」
「それが怖いから」
優花は今自分が最も恐れていることをだ、優子に素直に話した。
「龍馬についても」
「そうね、私もね」
「僕をだね」
「最後まで裏切らないでいられるか」
「怖かったんだね」
「裏切る、裏切られる」
どちらの側でもというのだ。
「それは怖いことよ」
「裏切ることもだね」
「ええ、悪いことをすることだから」
「そうなんだね」
「中には違う人もいるけれど」
人を裏切ろうが平気な者はというのだ、実際に世の中にはそうした輩もいる。
「もっともそんな人は信じられないわね」
「そうだね」
「そうした人になるのが怖かったの」
「信用できない人に」
「そうなの、けれど」
「姉さんは決意したんだね」
「だから優花にも今話してるのよ」
こうも言うのだった。
「こうしたことをね」
「決めたから」
「それでも迷いが出るか怖いわ」
優子もまた素直に言った。
「決意してもね」
「何かそういうの聞くと」
「弱い?」
「そう思ったけれど」
「そう、実際にね」
「姉さんは弱いの?」
「自分でそう思うわ」
否定しなかった、それも全く。
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