暁 〜小説投稿サイト〜
ドリトル先生北海道に行く
第十幕その四
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「名前をウルといいますが」
「その羆さんがですか」
「非常に大きな身体でして」
「あまりにも大きいと」
 先生はそのことを聞いてすぐに言いました。
「冬眠も難しくなりますね」
「はい、そのことです」
「そうですか、やっぱり」
「実はウルは毎年冬眠に苦労していました」
 そうだったというのです。
「それで毎年洞穴を私と一緒に探していましたが」
「その洞穴がですか」
「遂に入られる穴がなくなりました」
「それは大変ですね」
 先生もお話を聞いて神妙なお顔になりました。
「何とかしないと」
「夏のうちに一緒に冬眠出来そうな洞穴を探していましたが」
「それが遂になくなったのですか」
「それで困っていまして」
「では」
「はい、お力を借りたいのです」
 是非にという言葉でした。
「貴方が動物の言葉がわかるのなら」
「彼の話を聞いてですね」
「私と一緒に考えて下さるとです」
「そうですか、では」
「はい、今からです」
 それこそというのです。
「ウルのところに来てくれますか」
「わかりました」
 先生は穏やかな笑顔でシホレさんの言葉に頷きました。
「それでは」
「有り難うございます、ではこちらに」
「はい、それでなのですが」
「それでとは」
「シホレさんはこの辺りの村に住んでおられるのですね」
「そうですが」
 シホレさんは先生の質問にすぐに答えました。
「生まれた時から」
「では屈斜路湖のことも」
「ずっと見てきています」
「ではクッシーのことも」
「私も見たことがありますが」
「ではやはり」
「あれは鮭ではないでしょうか」
 シホレさんこう先生に答えました。
「そう思いますが」
「鮭ですか、そういえば」
 ここで先生も思い出したことありました、それは何かといいますと。
「アイヌの伝承に大きな鮭のお話もありますね」
「今の尺で百メートル程の」
「神様の様な鮭ですね」
「それで全身が輝いていてです」
 そしてというのです。
「姿を現せば水面がお日様の様に輝く」
「そうした伝承もありましたね」
「アイヌ民族の古い伝承です」
「だからですか」
「私は鮭だと思いました」
 とても大きなです。
「そう思ったのですが」
「そうですか」
「水面を泳ぐ巨大な影を見まして」
「そういえば」
 先生がまた思い出したことはといいますと。
「本州にもタキタロウのお話がありますね」
「ああ、先生前に言ってたね」
「秋田県だった?」
「ある湖にいる」
「大きなお魚だね」
「うん、大きさは色々言われているけれど」
 先生は皆にもお話します。
「剥製もあって実在は確かだけれど」
「それでもなんだ」
「滅多になんだね」
「見られないんだね」
「そうなん
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ