第2章:埋もれし過去の産物
第45話「自分を追い詰めて」
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る現実から逃れようとしているだけだ。
「(...悲しみからも、逃げようとしてたんだな。)」
無理をする事で、悲しみから逃れる。
...あの無茶には、そんな意味もあったみたいだ。
「....やっぱり、辛いなぁ....。」
前々世の時、僕は何人もの人の死を見て来たし、何人も殺してきた。
それ自体に罪悪感がなかった訳じゃないけど、それでもここまで辛くなかった。
...やはり、緋雪だからなんだろうな...。
「(....なぁ、緋雪。....僕は、どうしたらいいんだ?)」
自問するように、物思いに耽るように、僕は心の中の緋雪に問いかける。
「(...お前が死んで、僕は途轍もなく悲しい。...あぁ、シュネーもこんな気持ちだったんだろうなとも思う。....でもさ、僕には、どうすればいいか、分からないんだよ....。)」
どうすれば、この悲しみをなくせるのか。
それが分からなくて。分からなくて。
....ただただ、空しく、哀しい時間が過ぎて行く....。
〈....マイスター。〉
「....シャル?」
...そんな不甲斐ない僕を見ていられなかったのか、シャルが話しかけてくる。
〈マイスター宛てに、一つのメッセージがあります。〉
「メッセージ...?」
今更、何かメッセージを貰ったって...。
〈...差出人はお嬢様です。〉
「っ....!」
どういうことかと、問いただすようにシャルを首から外し、近くのテーブルに乗せる。
「どういう...事だ...?」
〈...お嬢様の命令です。...マイスターが悲しみに暮れている場合、再生するようにと。〉
「....聞かせてくれ。」
僕がそう言うと、シャルは少し浮き、映像を映し出した。
【...よし。...お兄ちゃん、聞こえてる?】
「っ.....!!」
...それは、紛れもなく本物の声で。
...どこか、儚い表情を浮かべた緋雪が、映っていた。
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