第2章:埋もれし過去の産物
第45話「自分を追い詰めて」
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なかったな...。
「....ねぇ、優輝。」
「ん?何かな?」
「....どうして、二人分のお弁当を作ってるの?」
「っ...!」
...料理をする手が止まった。
......その手元には、僕がいつも使う青色の弁当箱と....緋雪の赤い弁当箱があった。
「あー...いつもの癖かな...。どうしよう...。」
「...私達の昼食の足しにでもするわ。」
とりあえず、作った分は冷蔵庫にでも入れておくか。
「....優輝...。」
「退院したばっかりで気が抜けてるのかな?」
心配そうな椿の声に被せるように、僕はそう言う。
「...無理は、しないでね。」
「......。」
椿の言葉に、僕は何も言い返せなかった。
「(...リハビリ程度の運動に留めておくか。...今は。)」
学校が終わり、下校に就きながら僕はそう思っていた。
...ちなみに、学校では僕を気遣ってか腫れ物を扱うような態度を皆に取られた。
「(...強く...ならなきゃ...。)」
僕が至らなかったせいで緋雪は死んだ。
だから、二度とそんな事を繰り返さないためにも、僕は強くなる...!
「はっ!ふっ..!っぐ..!?...はぁっ!」
休日、山の中。
体の痛みも多少の動きでは感じなくなり、僕は木刀で素振りをしていた。
「(もっと...!もっと早く、鋭く...!)」
多少程度の動きではないため、体に痛みが走るが、無視して木刀を振り続ける。
「ぐ...く...ぁっ!っ、はっ!」
足元が覚束なくなる。無理をしているからだろう。
...だからって、この程度では終われない...!
「ぁあっ!っ、はぁっ!!」
剣先がぶれる。もっと、もっと鋭くだ!
これじゃぁ...この程度では!
―――カァアン!!
「...っ。」
「...そこまでだよ。優ちゃん。」
振り下ろした木刀が、レイピアで止められる。
見れば、葵がそこにいた。
「山菜を取りに来たと思えば、まさかそんな事をしてたなんてね。」
「...葵だけか?」
「...かやちゃんとは別行動だよ。」
葵の言うとおり、椿の気配はしないので、別行動らしい。
「止めないでくれ、葵。」
「ダメだよ。これ以上は、優ちゃんの体が壊れちゃう。」
いつもはふざけている葵の声は、真剣そのものだった。
「...それがどうした...僕は、強くならなきゃ...!」
「っ...ごめんね。」
「え?ガッ..
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