機動戦艦ナデシコ
1321話
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唐突にナデシコの中に鳴り響いた非常警報。それが何が理由で行われたものなのかというのは、想像するのは難しくない。
ここは火星で、木星蜥蜴に占領されている場所なのだから。
ただ、唯一の誤算があるとすれば……
「まさか、昨日の今日で戦力を回復させるとは思わなかったな」
非常警報の中で俺の呟きが漏れる。
そうなんだよな。実際問題これは完全に予想外だった。
普通であれば、あれだけの戦力を失ったら戦力の回復に努める筈だ。特にそれが無人機であれば尚の事。
もし無人機を人間……ではないかもしれないが、何らかの知的生命体が操っているのだとすれば、こっちが完勝した事による油断を突いてという風に行動するのも分からなくは無い。
いや、それとも木星蜥蜴のAIはその辺のファジーな感覚も再現可能なのか?
だとすれば、ちょっと凄いな。
それとも……これはちょっと考えたくない事だが、実は昨日の戦闘で木星蜥蜴が失った戦力というのは俺達が思っていた程多くなかったとか。
こっちも可能性はあるが、それだと向こうの戦力は俺が予想していたよりも遙かに多いという事になる。
ともあれ、ナデシコのブリッジに通信を入れようとして、俺は自分のコミュニケを神楽坂に渡していた事に気が付く。
「ハルカ、悪いがブリッジに連絡を取ってくれ」
「え? ああ、うん。いいわよ」
一瞬何を言ってるのかといった視線を俺に向けたハルカだったが、すぐに俺の手首にコミュニケがないのに気が付いたのだろう。頷いて自分のコミュニケを起動させる。
「ねぇ、何があったの?」
『あ、ハルカさん。戻ってきてたんですね! えっと、ハルカさんがいるって事は、当然アクセルさんもいますよね!?』
そう尋ねてきた艦長は、どこか切羽詰まった様子を見せている。
艦長がこういう表情をするのは珍しいな。
「ええ、いるわよ。アクセル以外にもシャドウミラーの実働班……戦闘を担当する部署の隊長と隊員もいるわ」
『それは……不幸中の幸いって言うべきなんでしょうか。ともあれ、ナデシコを……いえ、正確にはネルガルの研究所なのか、それともアクセルさんが設置したゲートなのかは分かりませんが、こちらを目指して木星蜥蜴の集団がやって来ています。数は最低でも昨日の3倍程との事なので、かなりの大戦力です』
「3倍……また、随分と向こうも奮発してきたのね。それで、どうするの?」
『正直、ナデシコの戦力だけでは戦いようがありません。このまま戦っても無駄死にするだけです。ミロンガ改もありませんし。なので、出来ればアクセルさんやシャドウミラーにお手伝いして欲しいんですけど……どうでしょう?』
「……いいのか? いや、俺個人としては構わないが、シャドウミラーに戦力を要請するって事は、明確な借りになる
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