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英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜(閃T篇)
外伝〜トールズ士官学院・理事会〜
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く、西ゼムリア大陸全土の経済の問題であろう。メンフィルもあの宣言によって、少々影響が出始めている。」

「確かにそうですな。クロスベルは世界経済の中心部の一部と言ってもおかしくない場所ですから、両帝国だけでなくカルバードやリベール、レミフェリアにとっても他人事ではないでしょうな。」

リウイの意見にルーファスは重々しい様子を纏って頷いた。



「ところで―――先日の実力考査ですが、T組・U組の成績が下がっているのはいささか気になりますな。やはり貴族生徒に対する優遇措置が仇となっているのではないでしょうか?」

その時レーグニッツ知事は周囲の人物達を見回して意見をし

「8月中、貴族生徒にのみ将来の領地運営を学ばせるため故郷への帰省を許可する……トールズの伝統ではあるんだが今の時代には少々そぐわないかな?」

レーグニッツ知事の意見に対してオリヴァルト皇子は困った表情で問いかけた。



「お言葉ですが、そもそも伝統とは保たれることに価値があります。文化、芸術、そして身分制度……帝国を帝国たらしめている伝統はやはり守られるべきものでしょう。本学院がドライケルス大帝の理念を受け継いでいるのと同じように。」

するとその時ルーファスがレーグニッツ知事を見つめて反論した。

「だが、大帝は身分に囚われない自由な士官学校を設立することに拘っていたとも聞いている。だからこそ、貴族男子が大多数を占めていた二百年前でさえ、平民男子の入学も許されていた……今では、女子の入学も認められ、平民生徒の数は貴族生徒を大幅に上回っているのが現状です。今こそ我々は、大帝の真の理念を実現すべきではないでしょうか?」

「否―――その当時、平民男子の入学が許されたのはあくまで”従士”としてです。従士は騎士に従い、騎士は領主に仕え、そして領主たちが戴くのは皇帝であるエレボニアの伝統。士官学院の編成は、その秩序を体現していたと言えましょう。―――ならば今、その秩序こそが歪められていると解釈すべきではありませんか?」

「む……」

「やれやれ、本当にそうならば私も楽に意見を通せるのだが……あなた方ときたら揃いも揃って手厳しいことこの上ないと来ている。そのあたりも大帝の頃の伝統に引き戻して欲しいものだね。」

互いに睨みあって主張をぶつけるルーファスとレーグニッツ知事の様子を見たオリヴァルト皇子は呆れた表情で指摘した。



「ふふ……」

「確かにその通りだな。」

オリヴァルト皇子の指摘を聞いたイリーナ会長は微笑み、リウイは静かな笑みを浮かべて頷き

「……これは一本取られました。」

「理事長のご意見を検討し、実現に向けて繰り上げるのは我々の役目でもありますから。」

ルーファスとレーグニッツ知事
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