GGO編
九十五話 力と力
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手は……残り七割。
「回復アイテムあんなら言えよアイリの奴……」
まったくもって理不尽な文句だが、思わず口に出してしまって苦笑する。
どうやらダネルは回復アイテムを常備しているようで、一度長い間隠れた際に再び見てみると、まぁ見事にHPを回復されてしまった居た。
「やれやれ、どうすっかね」
この状況を打開する方法……無いわけではないが……それを今までのピンチでも使わなかった理由がリョウを迷わせていた。
『こういう切り札はね!本当に危なくなった時に取っておくと良いよ!出来れば……本戦まで使わない方が良いかも!』
「本戦まで……ね」
アイリが言いたいのは、まぁ簡単な話だ。
あれは一撃必殺になりうる切り札だが、そう言った切り札と言うのは初見にこそ最も効果を発揮するのだ。
もし使うならば、本当は本選で……しいていえば、本選出場者に見られてしまう可能性が高いこの予選では使わない方が良い。だが……。
「んなこと言ってもらんねぇよな……」
そう言って自嘲気味に笑う。
慣れていないなど理由にもならない。この状況まで追いつめられたのは自分の責任だ。ならば、そのしりぬぐいは自分ですべきだし、今ここでそれをしないと、アイリとの約束も闇風との約束も反故にする羽目になる。そっちの方が問題だろう。
その時だった。
ドガァン!という音を立てて、前方斜め下100メートルくらいの地点にある、右側の木の壁が砕けた。
「オーライオーライ。分かりましたよ」
最早逃げるのもおしまいにした方が良かろう。いい加減画面の向こうのギャラリーも嫌になっている筈だ。それに……
「そろそろあっちも我慢の限界っぽいからな!」
「…………」
ダネルが、建物外の非常階段を上っていた此方を見つけグレネードランチャーを向けた。発射。
「っと!」
逃げる。直後にリョウが居た地点が爆発。爆風でHPが少し減った。
「うおおぉぉぉっ!?」
更に逃げる。逃げる。
弾速が遅いせいか、グレランの弾は余りリョウに直撃はしない。しかしどちらにしても爆風が追いかけて来るそれは十分恐怖を誘う物で……
「そっい!jump!」
最後には、リョウは踊り場から屋上へと飛び込むように入った。同時に非常階段が崩れる。建物内の階段は既に崩落していたので、これでこの建物の屋上に来る手段は無いはずだ。残るは……となりの建物の屋上に上るしかない。その間が、勝負だ。
「よっ……と」
リョウはアイテム欄を操作する。自身のメインアームであるXM29を外し、代わりに“それ”を装備する。
「さーて、来るならこいや」
ニヤリと笑って、リョウは言った。
────
「…………」
ダネルはゆっくりと、扉を開く。
内階段から屋上に続く階段を上がり、相手で
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