第37話
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王都とロレントを繋ぐ関所、グリューネ門に到着した頃には既に夕方になっていて、エステルは急いで待ち合わせの場所に向かった。
〜グリューネ門・アーネンベルク・夕方〜
「……あ………」
アーネンベルクに一人の人影を見つけたエステルは嬉しそうな表情をした。
〜王都グランセル〜
「ヒック……。フィリップのやつ、小言ばかり抜かしおって……。私をいったい誰だと思っておるのだ……。最高位の王位継承権を持つ……デュナン・フォン・アウスレーゼだぞ……」
一方その頃、デュナンは酔っぱらった様子で独り言を呟いていた。
「う〜い……少しビールを飲み過ぎたか……。しかし、あのライスカレーというのはなかなかの美味であった……。たまには庶民の味も悪くない……」
そしてデュナンはふらふらと歩き始めた。
「……くそっ……。クローディア……それに遊撃士の小娘め……。どうしてこの私が…………あんな小娘どもに……あんな小娘どもの言葉に……心を乱さねばならんのだ……」
「公爵閣下のご心痛、お察し申し上げますわ。」
デュナンの独り言に誰かが答えた。自分の独り言の返事が返って来た事に首を傾げたデュナンが振り向くとそこにはカノーネがいた。
「な……。お前はリシャールの……」
カノーネを見たデュナンは驚いた。
「ええ、副官のカノーネです。公爵閣下におかれましてはお元気そうで何よりですわ。ふふ、あまりご機嫌は宜しくないようですけど……」
「な、何の用だ……。お前たちはたしか指名手配されている身では……」
不敵な笑みを浮かべているカノーネをデュナンは信じられない表情で見た後、カノーネの状況を呟いたその時、デュナンの後ろから数名の特務兵達が現れた!
「ひっ……!?」
「ふふ、そう警戒されると傷ついてしまいますわ。わたくしたちはただ……公爵閣下のお手伝いがしたいだけ。さあ、一緒に来て頂きますわよ。」
そしてデュナンはカノーネ達にどこかに連れて行かれた。
〜グリューネ門・アーネンベルク〜
「ヨ、ヨシュ―――」
エステルは人影をヨシュアと思い、駆け寄ったが
「あ……?」
「へっ……?」
そこにいたのはヨシュアでなく、ケビンだった。
「エステルちゃんか……?」
「ケビンさん……。ど、どうしてここに……?」
ケビンに驚いたエステルは辺りを見回して、ヨシュアを探したが、ヨシュアは見つからなかった。
「い、いない……」
「いや〜、ひさしぶりやなぁ。しかし、こんな所で再会するなんてオレら、やっぱり縁が―――」
「ねえ、ケビンさん!ここで誰か他の人に会わなかった!?」
自分に話しかけて
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