第6章 流されて異界
第141話 迦楼羅の炎
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その後に大祓いの祝詞を完成させ、アラハバキの身体の存在している魔界と、現実界の絆を断ち切り、
最後は予定通り、さつきに残滓の掃討を任せる。
問題は視力が回復しない現在の状態では遠近感がちょいと微妙。更に、全体を一望出来る場所を押さえられるかも分からない。
そもそも、タバサか湖の乙女のサポートもなしに、クラウソラスの一撃を行使した事がない。
そして、一番問題なのがアラハバキの首を一度ですべて攻撃出来るかどうかが不明だと言う事。討ち漏らすと即座に回復されるので意味がない。
周囲はアラハバキを構成する呪力によって満たされている。これを回収すれば、一度開いた次元孔をもう一度開き直すのは難しい事ではない。……と思う。
出来るかどうかは分からない。しかし、やらなければジリ貧となるのは確実。
――ならば、最初の一手は。
「弓月さん――」
一時的に龍気を送り込む事の出来る霊道を彼女に繋いで、今、俺が主と成って居る大祓いの祝詞を彼女に任せる。
そう考えて、火界呪を一時的に中断。現実の言葉で弓月さんに話し掛けた瞬間。
――不吉な予感が足元から這い上がり、背中を駆け登った。
刹那、世界が歪んだ。
再び、突き上げるような衝撃!
咄嗟に右の膝だけを大地に付け、同時に生来の重力を操る能力を発動。無様に大地に転がる事態だけは避ける事に成功する俺。
その僅かな対処の後、地鳴りと、真っ直ぐに立って居られないような震動が世界に覆い被さって来……いや、違う。これはおそらく、晴明桔梗を模した結界内のみが震えている、のだと思う。
それは現実の大地が震えているのではなく、異界から何モノかが顕現しようとして、その影響で世界が歪んでいる状態。多分、この大地の震動は一般的な地震計では観測出来ていない。
それは生命体のみが感じる畏れ。機械にこの霊的な揺れを認識させるには、それなりの特殊な……表の世界には出回っていない類の計器を使用しなければ無理でしょう。
そして――
「し――武神さん」
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