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蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第141話 迦楼羅の炎
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は囮。上手く首と首の間をすり抜け、本体部分が未だ現界出来ていない次元孔に一撃を加えられれば儲けもの、と言うレベルの動き。本命は三体の動きにつられた首に致命的な一撃を加える後ろの二体。

 飛来した黄金の矢に貫かれ、巨大な火塊に圧倒され、その身を構成する物質を減らして行くアラハバキの首たち。俺の召喚した迦楼羅の炎に、さつきが放った神炎が合一。膨れ上がった炎はまるで地上に墜ちた太陽の如く光り輝き、燃え盛る炎により、ドンドンと消費されて行く蛇神アラハバキの呪力。
 俺の見鬼には、邪神を構成する呪力が炎と熱。そして、陰陽の気に分解され、まるで陽炎のように氷空に向かい立ち昇って行く様が克明に映っている。
 このまま燃え尽き、ふたつの首がこの世界から完全に消えて仕舞う。そう感じた刹那……。

 轟々と赤き巨獣が咆哮した。それは地上に存在するどのような獣の声よりも大きく、ありとあらゆる自然現象よりも鋭く木霊する異世界の雄叫び。
 その暴風にも等しい雄叫びに大気自体が嵐のように吹き荒れる。

 その荒々しい腕で周囲が一撫でされた瞬間……。

 周囲の木々。真冬故にすべての葉を落とし、来たるべき春に備えて力を蓄えていたはずの木々から、すべての生命力が消えた。……いや、奪われた。
 そう、目の前に存在する赤い首は死そのもの。触れるモノの生命力を奪い、死を与える冥界の神。
 異界から送り込まれる呪力。更に、周囲から奪い去った生命力を糧に、燃え盛る炎の内側で再び構成されるアラハバキの首。
 無数の傷から、炎に巻かれた巨体から漏れ出すように、蒸発するかのように消えて行ったはずの呪力が、いとも容易く補充されて仕舞ったのだ。

 ダメだ。この場所の陰の気が強すぎる。
 確かに攻撃もまったくの無駄と言う訳ではない。少しでも呪力を削れば、削った瞬間は、その部分の再生を優先する為に首の動きを止める。
 しかし、それだけ。与えたダメージに対応する時間の後には、強化された新しい首が再び戦線に参加して来る。

 すべてを吹き飛ばすぐらいの強力な術式で一時的に活動する首の数をゼロにした後、異界のアラハバキとの繋がりを断ち、次元に開いた孔を塞ぐ。その後に周囲から生命力を奪って再生した首を完全に無力化。この順番以外で、今回の事件を終わりにする方法はない。
 但し、これを為すには問題が幾つか。
 先ず首の数が多すぎる。おそらく九つ以上の首が存在する以上、こちらもそれに対応した超強力な術式を組み上げる必要がある。当然、今、組み上げつつある大祓いの祝詞は絶対に。出来る事ならば火界呪も維持した状態で。
 更に、首だけとは言え、古の蛇神アラハバキが現界している以上、この周囲は異界化現象に見舞われていると推測出来る。但し、それは飽くまでも推測出来ると言うだけで、確認が出来
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