第6章 流されて異界
第141話 迦楼羅の炎
[2/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
、更に分割された思考で砦の強化を図る。今回の戦いに限った事ではないが、それでも、転生の記憶が復活していた事には感謝をするしかない。何故ならば、もし、ハルケギニアに召喚された直後の俺がこの事件に巻き込まれていたのなら、……と考えるとぞっとする、と言う答えしか得られないと思うから。
まるで巨大な瀧の如く降り注ぐ霧。当然それは単純な水などではない。しかし、その恐るべき圧力が、見鬼を通じて感じられている世界の在り様を変質させ――
そのまま、霊的な砦と接触。
その瞬間、何もないはずの空中に複数の光る帯が発生。同時にミシリっと言う、現実にはあり得ない音を感じた。
そう、光る帯の正体は魔法円。術式の起動後に術式を構成するソレらが現われる事はない類の術を使用したハズなのだが、それが現われていると言う事は、現在それだけ強い負荷が外側から掛けられていると言う事。
俺の防御用の術式がショボイのか、それとも、今宵、この場所に顕われる連中の能力が常軌を逸して居るのか定かではない。但し、それを今、嘆いていても仕方がない。
その時、俺の近くで黄金の光が増し、上空へ向け放たれる鳴弦の響き。
しかし、その力強い黄金の輝きを持ってしても、上空に存在する赤い瞳に届く前に、音速の矢は分厚い闇の層で勢いを失い、すぐに消えて仕舞う。
成るほど。ただ、これも想定内の事象。少しの落胆を覚えながらも、それでもそう考えて、自らの背に迫って来ていた絶望から更に距離を取る。
ひとつひとつが弱ければ……。一人の力で届かないのなら数で対抗するしかない。何故か今回は、全方位から俺を捕らえようとする術式ばかりを相手にさせられているような気もするが、その辺りも後に検証すれば良い。
それに、その程度の事ならば、おそらく、さつきなら素直な答えを返してくれるだろう。その答えは簡単。あんたがちょこまかと逃げ回るからよ、……と。
先ず、外から侵入する大気すらもシャットアウト。代わりに新鮮な空気の生成を同時に行う。普通の防御系の術式の場合、光や重力、そして大気などの、最初から自然の中に存在するモノ……術者がソレを脅威だと認識していないモノに対しては侵入を妨げる事は少ない。
しかし、今回の場合はその前提を覆す。ありとあらゆる外界から侵入して来るモノをシャットアウトする、非常に高度な術式の構築を行う。
何故ならば、あのアラハバキがこの場所と一体化している可能性が有る以上、この砦内に外から空気さえも侵入させるのは危険。其処から、この防御用の術式を崩壊させられる危険性がある。
次に、砦の内側にもうひとつ新たな砦の構築と、そちらの強化を同時に行う。
「皇御孫命の瑞の御殿仕へ奉りて、天の御蔭、日の御蔭と隠り坐して、安国と平けく知ろし食さむ国中に――」
更に進
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ