第二十二話 新人事(その2)
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と公はまたココアを一口飲んで顔を顰めた。
帝国暦487年 4月 5日 オーディン 軍務省 尚書室 エーリッヒ・フォン・ブラウンシュバイク
「御苦労だったな、ブラウンシュバイク公。悪条件にもかかわらず勝利を得た事は見事だ」
「有難うございます」
軍務尚書の労いに答えると帝国軍三長官が満足そうに頷いた。
尚書室には帝国軍三長官が揃っている。いや三人並ぶと迫力有るし威圧感もあるけど何と言ってもあくどさもパワーアップだわ。偉くなるにはそういう悪の部分も必要って事か。素直に感心した。俺みたいな素直で心優しい平凡な人間には無理だな。
「フェザーンは何か言ってきたのでしょうか」
「うむ、レムシャイド伯から連絡があったそうだ。今回の件はミスだったと言っているらしい。伝えたと思い込んでいたと」
ルビンスキーってやつは悪知恵だけじゃなくユーモアのセンスも有るな。ミュッケンベルガーの答えに思わず笑ってしまった。俺だけじゃない三長官も笑っている。ミュッケンベルガーが言葉を続けた。
「卿の事を褒めていたそうだ。流石はブラウンシュバイク公、情報が無いにもかかわらず勝利を得るとはお見事、とな」
今回は挨拶程度、次はもっと別な手で来る、そんなところだな、気を付けないと……。
もっとも気を付けるのはルビンスキー、お前も同様だ。喧嘩売ったのはそっちだという事を忘れるなよ、黒狐。何時か毛皮を剥いでマフラーにしてやる。フェザーン製の品は評判良いからな、エリザベートも喜ぶだろう。
「戦闘詳報は読ませてもらった」
「はっ」
そんな苦い表情をするなよ、シュタインホフ。この面子で戦闘詳報って言うと例のイゼルローン要塞の並行追撃を思い出すんだよな。多分シュタインホフも同感なんだろう。なんか嫌な感じだ、あの一件で俺の人生は狂ったからな。
「兵力が少ないという事もあったが大分索敵に苦労しているな」
「はい」
「フェザーンの情報が当てにならないとすれば現場にて情報収集せざるを得ん。索敵に力を入れざるを得ないという事は分かる。軍務尚書、司令長官も同意見だ」
シュタインホフの言葉にエーレンベルク、ミュッケンベルガーが頷いている。
「では」
「うむ、卿の提言を全面的に受け入れる方向で進めている。ただ、新型索敵機の開発には時間がかかるだろう。しばらくはワルキューレによる索敵部隊の編制、軽空母の建造で対応するしかない」
十分だ。俺だって今すぐ新型索敵機が開発されて配属されるなんて考えてはいない。軍が動き出したという事で問題は無い。次の戦いが何時になるか分からないがそれまでにはある程度の索敵用の部隊が編成されているだろう。それだけでも十分に違う。
エーレンベルクが咳払いをした、どうやら話が変わるらしい。俺が宇宙艦隊
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