暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜美しい夢〜
第二十二話 新人事(その2)
[3/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
良い艦ですよ、なかなか使い心地が良い。これから使い慣れればもっと愛着がわくでしょうね」

公が嬉しそうにフォルセティについて語っている。物に拘らない公にしては珍しい事だ、少し可笑しかった。フォルセティか、新造艦ではあるが意外に地味な艦を選んだなと思った。派手な事を嫌う公らしいとは言えるだろう。確か同形艦が出来ていると聞いたが……。

「ミューゼル提督のブリュンヒルトは如何です」
「気に入っています、これ以上の艦は無いと思っています」
胸を張って言っていた。他人の事は言えないな。どうやら俺は既にブリュンヒルトに愛着を持っているらしい。言い終わってから苦笑していた。

「羨ましいですな、我々も早く乗艦を頂けるようになりたいものです」
ロイエンタールの言葉にミッターマイヤー、ミュラーが頷く。ケスラー、シュタインメッツも頷いている。艦隊司令官になって乗艦を貰う、軍人としての夢だな。

「直ぐに貰えますよ。どんな艦が来るか、楽しみですね」
直ぐに貰える、出兵も武勲を立てる場も有るという事だろう。公の言葉に皆が嬉しそうに頷いた。そしてそれぞれに艦の好みを言い出す。“速度の有る艦が良い”、“いや防御に優れた艦が良い”、“自分は攻撃力が大きい艦が好みだ”、楽しい時間だ。

「反乱軍の宇宙艦隊司令長官ですが……」
ロイエンタールが公に問いかけたのは、一頻り未来の乗艦の好みについて話した後だった。

「クブルスリーという人物が就任しましたが何かご存知ですか? あまり聞き覚えのない名前なのですが……」
そうなのだ、聞き覚えがない。反乱軍の指揮官で帝国まで知られている人物と言えばシトレ、ロボス、ビュコック、ボロディン、ウランフだろう。その内ロボスは既に第一線を退いている。

前任者のドーソンも知らなかったが今回のクブルスリーも馴染みが無い。一体どんな男なのか……。公も少し首を傾げ考えるそぶりをしている。この手の事は公が詳しいと言うのはミュラーの意見だったが……。
「……そう言えばあまり聞かない名前ですね」
「ええ、それで我々もちょっと困惑しているのですが……」

ケスラーの言葉に公も頷いている。
「たしか第一艦隊の司令官をしていたはずです。第一艦隊は首都警備、国内治安が任務ですからね、もっぱら海賊討伐と航路の安全確保を行っていたはずです。前線にはあまり出ることが無かったのはその所為でしょう」
「なるほど」
ケスラーが相槌を打ちながら俺に視線を向けてきたので頷いた。なるほど、前線指揮官として聞き覚えがないのはその所為か。

「無能ではないはずですよ、第一艦隊は首都警備をしているのですから。少なくとも前任者のドーソン大将よりは上のはずです。ただどういった用兵家なのか、癖などは分かりませんね。用心した方が良いでしょう」
そう言う
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ