第35話
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ることなどなかったはず……。このフィリップ、今一度その事を進言させて頂きたく……」
「ええい、説教はたくさんだ!もうよい、このような場所に一秒たりとも長居できるものか!とっとと王都に向かうぞ!」
首を傾げているエステルに答えた後、自分を見て説教をしようとしているフィリップに怒鳴ったデュナンは兵士達を促した。
「おお……(ありがとう、遊撃士の少女よ……)」
デュナンの言葉を聞いた隊長は心の中でエステルに感謝し、安堵の溜息を吐いた。
「あれ?付き合わなくてもいいの?」
「いらぬ!行くぞ者ども!」
エステルの申し出を怒鳴って否定したデュナンは兵士達と共にエルベ離宮を出て行った。
「エステル様、毎度ながら本当にありがとうございます。何とお礼を言っていいか……」
「あはは、いいってば。でも、フィリップさんもたまにはちゃんと叱らなくちゃ。叱ってくれる人がいないからああなっちゃったんじゃないの?」
「え……」
エステルにお礼を言ったフィリップはエステルの言葉に驚いた。
「根は悪人じゃないと思うし、その気になれば立ち直れるわよ。要はきっかけじゃないかしら?」
「エステル様……。その言葉、このフィリップ、胸に染み入りましたぞ……」
エステルの言葉にフィリップは感動した様子でエステルを見た。
「フィリップ!何をしておるのだ!グズグズしていると置いて行ってしまうぞ!」
「は、はい、ただいま。それでは皆様……わたくしめはこれで。」
そしてフィリップはエステル達に一礼をした後、急いでデュナンの元に向かった。
「んー、やっぱり一緒の方がよかったと思うんだけどなぁ。」
「……なんと言うか。正直、お前のそういうところは真似できねぇぜ。」
首を傾げている様子のエステルをアガットは感心した様子で見て言った。
「えっ?」
「えへへ……。やっぱりお姉ちゃんは凄いな。」
「初めて会った時からそんな気はしてたんだけど……。エステルって、限りなくお人好しさんなのねぇ。」
アガットの言葉にエステルが首を傾げている中、ティータやレンもアガットの言葉に同意した。
「お人好しって……なんで?」
唯一人エステルは、アガット達が何故感心しているかを自覚していなかった。
「あー、分からないならそのままでいいっての。とにかく王都に戻るぞ。」
そしてエステル達は王都のギルドに戻って行った………
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