第32話
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〜グランセル城・離宮前〜
「ここは…………」
ヒルダの案内によって桟橋から見える離宮を見たクロ―ゼは驚いた表情をした。
「……殿下にとっては懐かしい場所でしょうね。」
「ふむ。女王宮とは別の王宮である所を見ると、もしかして亡くなられた王太子夫婦が住まわれていた王宮かな?」
「はい。…………シルヴァン陛下達は兵士や親衛隊員の方達も含め、かなりの数で来られましたから、殿下には申し訳ないのですが、女王陛下の許可の元、こちらを使わせて頂きました。」
オリビエの疑問に答えたヒルダはクロ―ゼに頭を下げて謝罪した。
「いえ………私より辛い思いをされたお祖母様が決心なされたのなら、私からは言う事はありません。だから、気にしないで下さい。」
謝罪するヒルダにクロ―ゼは微笑んで答えた。
「………もったいなきお言葉です。………申し訳ないのですがまたパーティーの準備が残っているので私が御一緒できるのはここまでです。」
「あ、大丈夫です。ここからはあたし達で行けますから。」
「………わかりました。それでは失礼します。」
エステルの言葉に頷いたヒルダはエステル達に一礼をした後、城に戻った。
「さて………ついにメンフィルの王様達とご対面ね!まさか、こんな日が来るとは思わなかったわ〜。」
「ハハ………ここにいるみんな、お前さんと同じ感想を持っているよ。」
「はい。………私なんか、ドレスで来るべきだったと後悔しています。」
「フッ………いざ行かん、”覇王”の血を引きし者達の元へ!」
エステルの言葉にジンは頷き、クロ―ゼは苦笑しながら答え、オリビエはいつもの調子で仕切った。そしてエステル達は桟橋を渡り、離宮の前を守っているメンフィル兵達に自分達の名前を告げ、離宮へと入って行った。
〜離宮内〜
「………さすがは”大陸最強”の兵士達と言った所か。一人一人、只者じゃないな。恐らくだが、正遊撃士或いは王室親衛隊員並の実力はあると感じるぜ。」
離宮内を歩いていたジンは周囲のメンフィル兵達を見て、真剣な表情で呟いた。
「メンフィルの兵士さん達はあたしにとっては馴染み深い存在だけど………改めて見ると、みんな凄い気配を感じるわね。」
「メンフィルの真の強さは白兵戦と聞きます。一般兵がそれだけ強いとなると、『空の王者』と畏怖を持たれている竜騎士や親衛隊の方達はどれほどの強さなんでしょうか?」
エステルの呟きにクロ―ゼは答え、未だ見ない竜騎士や親衛隊員の強さが気になった。
「フッ………しかし、みな物々しい雰囲気ばかりだね。よし、こういう時こそボクのリュートで張り詰めた空気を和ませて………」
「やめなさいっての。下手した
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