第31話
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文書が届いているのは事実です。ただ、王室に対する批判というものではありません。リシャール大佐の減刑を嘆願するものが多いですわね。おそらく一部の王都市民によるものではないかと……」
リベール王女であるクロ―ゼの頼みを聞き、ヒルダは答えた。
「そ、そうなんだ……」
「ふむ、さすがボクがかつてライバルと目した人物だ。逮捕されてもなお人気とはね。」
ヒルダの話を聞き、クーデターの犯人だったリシャールが未だに人気がある事を知ったエステルは驚き、オリビエは感心しながら頷いた。
「大佐が有能な人物であったのは誰もが認める所でしょうから……。それを惜しむ人がいても何ら不思議ではないでしょうね。」
「しかし、そうした手紙と脅迫状は関係なさそうですな。どうやら王室を動かすことが目的というわけではなさそうだ。」
「うーん、それが分かっただけでも良しとしますか。そうそう、ヒルダさん。もう1つ聞きたいことがあるんですけど……」
そしてエステルはレンの両親の事を尋ねた。
「クロスベルの貿易商、ハロルド・ヘイワーズ……。ええ、存じていますわ。」
「ええっ!?」
「ヒルダさんのお知り合いですか?」
ヒルダの答えを聞いたエステルは驚き、クロ―ゼも驚きながら尋ねた。
「いえ、2日ほど前に城内の見学を希望された方です。たまたま手が空いておりましたので私が案内させていただきました。確かに、奥様とお嬢様をお連れになっていましたね。」
「そ、そういうことね……」
「両親がどこに行ったかの手がかりにはならなさそうだね。」
重要な手掛かりにはならなかった事にエステルは苦笑し、オリビエは頷いた。
「ただ……少々気になることが。」
「気になること?」
ヒルダが真剣な表情で語った言葉にエステルは首を傾げた。
「お嬢様の方は、とても楽しげに見学してらっしゃったのですが……それと対照的に、ご両親の方は心ここに在らずといった雰囲気でした。私と話すときは普通にしていましたが多分、無理をしていたのかもしれません。」
「ここを初めて見学したにも関わらず心ここに在らずという雰囲気か……。悩みごとがあった可能性は高そうだな。」
「そうですね……。その時点で、何かのトラブルに巻き込まれていたのかもしれません。」
「ふむ、そのあたりに行方を捜す手がかりがあるのかもしれないね。」
ヒルダの話を聞いたジン、クロ―ゼ、オリビエはそれぞれ意見を言った。
「ヒルダさん、ありがとう。結構いいヒントを聞かせてもらっちゃいました。」
「それはようございました。ところで姫様、それに皆様……。今夜は当然、グランセル城にお泊りになられるのですよね?」
「へっ……?」
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