第36話黄昏た夕空の上で
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茅場が幼かった時から、描かれていた仮想だったのだろう。大地に立っていては届かないあの浮游城へ行きたい。彼はそれだけーーー世界を広げたかったのだろう。
「私はねぇライリュウくん、まだ信じているのだよ。どこか別の世界には、本当にあの城が存在するのだと・・・」
「・・・あぁ、そうだといいな」
世界は境界線が重なって出来ている。自分達が当たり前だと思っている世界、ありえないと思っている世界、そんないくつもの世界が重なって出来ている。そのいくつもの世界の一つに、あの浮游城がある事をーーー茅場晶彦は信じている。
今現在、崩れている浮游城の外装はただのデータとなり、消え初めている。境界線の重なった世界に、茅場が新たに生み出し、重ねた世界の一つが今ーーー崩壊を進めている。
「言い忘れていたが・・・」
茅場は世界が消える前に、彼らに伝えなければいけない事を思い出した。それはーーー
「ゲームクリアおめでとう。ミラくん、そして・・・神鳴竜くん」
ゲームクリアの祝いの言葉。ゲームマスターとして、これだけは絶対に伝えなければいけない。茅場が竜の名を知っている事に未来は一瞬驚いたが、兄ならきっとそうするだろうと、妹として彼を支えていた彼女は分かっただろう。
「さて、私はそろそろ行くよ・・・」
茅場は別れの挨拶を言い、神鳴兄妹が見届けた頃にはもうーーー茅場晶彦という男は、煙のように消えていた。
「ねぇ、竜兄・・・」
「ん?」
「ログアウトするまで・・・甘えさせて?」
「・・・いいよ」
茅場晶彦が消えた後、妹の未来の頼みを兄の竜は聞き、見えない床のような所に足をぶら下げて座りだした。未来は竜の身体に体重を掛け、肩に頭をのせた。
「・・・キリトくんとアスナさん、やっぱり向こうで付き合ったりするのかな?」
「そりゃそうだろ。あの二人がゲームの中だけの関係で終わらせると思うか?むしろ人目に憚らずイチャイチャしそうな奴らだぞ」
「ありえる!・・・あ!それあたし達のパパとママにそっくりじゃない!?」
「あぁ〜そういえば・・・何かデジャブみてぇなモン感じると思ったら身内かよ。どこにでもいるんだな」
「そういえばパパとママ、元気にしてるかな?」
「元気だろ。むしろオレ達の病室でイチャイチャしてんじゃねぇの?」
「だよね〜!」
それから他愛もない兄妹の会話は続き、もうすぐ世界が終わる時が迫っている。
「・・・オレ、翼や弾やかんなに亜利沙、どうしてか分かんないけど・・・みんながオレ達をどこかで見てる気がするんだ」
「・・・そうだね」
「だからさ・・・一生懸命笑って、教えてやろうぜ?「心配すんな」・・・ってな」
「うん・・・「あたし達はもう、大
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