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ソードアート・オンライン〜隻腕の大剣使い〜
第36話黄昏た夕空の上で
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竜に心臓を貫かれた男。

「現在、アーガス本社地下5階に設置されたSAOメインフレームの全記録装置で、データの完全消去を行っている。あと10分ほどで、この世界の何もかもが消滅するだろう」

SAOーーー《ソードアート・オンライン》休まずを動かしていたアーガス本社の地下5階、そこに設置された装置でデータで出来たこの世界の全てが消滅する。つまりあの城は完全に崩れ落ちるという事。ただ、気掛かりなのは他にあるーーー

「あそこにいた人達はどうなったの?」

あの城にいた全SAOプレイヤー達。あの城が崩れ落ちれば、それと同時に全プレイヤーがこの空から落ちる。だが、このような人道から外れた行為を行ったこの男も、そこまで考えていない訳ではない。

「心配には及ばない。先ほど、生き残った全プレイヤー6147人のログアウトが完了した」

自発的ログアウトが出来なかったプレイヤー達は無事にSAOから解き放たれ、現実世界に帰還した。それは安心出来たが、ライリュウは今まで死んでいったプレイヤー達を思い浮かべていた。

「死んだ連中は・・・今までに死んだ4000人はどうなったんだ?」

「彼らの意識は返ってこない。死者が消え去るのはどこの世界でも一緒さ・・・例外はあったようだがな」

今までに死んでいったプレイヤー達はもう目覚める事はない、それは分かりきっていた事だった。それでも、竜は少し期待していた。実は彼らは生きていて、自分達の帰りを待っているのではないかと。だが茅場が最後に言った「例外」という言葉に、引っ掛かりを感じた。きっとそれを問いただしても答えるつもりはないのだろう。

「何で・・・何で、こんな事したんだ?」

「何故・・・か」

竜は茅場に質問した。何故《ナーヴギア》、および《ソードアート・オンライン》を開発し、ゲームオーバー=死のデスゲームを開始したのか。彼はどうして、4000人の死者を出したのかーーー

「私も長い間忘れていたよ。何故だろうな・・・フルダイブ環境システムの開発を始めた時、いや、その遥か以前からあの城を、現実世界のあらゆる枠や法則を超越した世界を造り出す事だけを欲して生きてきた」

彼はーーー現実世界を越えたかっただけだったのかもしれない。巨大の敵を打ち倒し、剣を交え己を高める世界が欲しかっただけだったのかもしれない。そんな仮想世界は間違いなく現実世界を超越出来ただろう。ただ、彼はその方法をーーー間違えてしまった。

「そして私は・・・私の世界の法則をも越える物を見る事が出来た。空に浮かぶ鋼鉄の城に私が取り憑かれたのは、何歳の頃だったかな・・・この地上から飛び立って、あの城へ行きたい。長い長い間、それが私の唯一の欲求だった」

あの浮游城アインクラッドは、自分が幾つの時だったのか忘れるほど
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