第36話黄昏た夕空の上で
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ビート・巨人の信念》。彼は一人じゃない。仲間と共に戦っている。
現在、第75層・《迷宮区塔ボス部屋》
「仲間の魂・・・なるほど、手強いな」
茅場晶彦は《リトルギガント》を知らない。彼らは当時、決して強いギルドではなかった。規模はライリュウを含めて6人の小規模のギルド。途中から加入したライリュウに攻略組に鍛えられ、殺人集団によって帰らぬ存在となった。実力では強くはなかったーーーだが、実力よりも強い物がある。それは全力で生きようとした、全力で戦ってきたーーー信念と魂。想いはいかなる剛や武をも超越する力となる。
「驚くのはまだ早すぎるぜ・・・?」
ライリュウはまだ隠している。巨人の信念の真の力を。
彼は剣を真っ直ぐ茅場に向け、自分の顔の横に鍔が重なるように構えた。あれは突きの構え。そんな物を見せたら次の攻撃が先読み出来てしまう。盾を前に構えるか、カウンターで逆に剣で胸を貫くか、それ以前に避けるか、様々な対応を考える事が出来る。ライリュウはその体勢で剣に青白いライトエフェクトを灯す。あれは茅場が作ったソードスキルの構え。だが、あれは《両手剣》のソードスキルではなくーーー
「《ヴォーパル・ストライク》!!」
「何ッ!?」
《片手剣》突進系ソードスキル《ヴォーパル・ストライク》。あれは《両手剣》では発動する事が出来ないはずの技。茅場はそれに驚き反応が遅れ、右脇腹を大きく斬り裂かれた。これはまさにイレギュラーな事態なのであろう。だがイレギュラーとはいえソードスキル、硬直しない訳がない。この隙に攻撃を仕掛けようと茅場はライリュウへ向き直ったがーーー《クナイ》のようにこちらへ真っ直ぐ投げられた《ドラゴンビート・巨人の信念》の接近に気付く。
「クッ!!」
それをギリギリ盾で跳ね返したが、ライリュウがそれを空中でキャッチし、《チャクラム》のように投げる。それは盾に触れる事もなく、剣を握る茅場の右腕を斬り落とす。
「どういう事だこれは・・・!」
「"想いはいかなる剛や武を超越する力となる"・・・それこそ、神様が作ったシステムなんざ完全に無視出来るくらいになァァァァァァ!!」
未だに今起きている状況を信じられずにいる茅場に、ライリュウは斬り掛かる。その一撃は全てを断ち斬る侍の剣ーーー《刀》。《刀》単発系ソードスキル《辻風》。その一撃、一斬は茅場の盾を一刀両断し、強固な壁を光を破片と化した。
「オレが今まで放った技は、全て仲間たちの・・・《リトルギガント》の力だ!!」
《ヴォーパル・ストライク》は明石翼の、《クナイ》のような投剣は河村亜利沙の、《チャクラム》の軌道は雨宮かんなの、《辻風》は妹、神鳴未来の力。
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