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歌集「春雪花」
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 君なくば

  命ながらむ

   こともなく

 短き春の

    夢と去りにし



 彼が共にないのなら、この世界で生き続けても仕方の無いこと…。

 ならばせめて…刹那の春の夢と同じように、短な命でありたいものだ…。

 長く生きたとしても…無意味に苦しみや哀しみを…ただ抱いて生きてゆくだけなのだから…。



 心あらば

  空よくすみて

   涙雨を

 降らせ愛しき

    君ぞ待ちにし



 心があるのであれば…春の空よ、私の淋しさを表すようにその身を褪せさせ、さめざめと涙雨を降らせてほしい…。

 どれだけ待っていても来てはくれない彼…想いを返してはくれない彼に恋い焦がれる私の心を…どうか映し出してほしい…。


 それだけ長々と…彼を待ち続けているのだから…。





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