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アインクラッド篇
movement U 絶望と希望の二重奏
アスラ戦 其之二
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する』という、およそダメージディーラーとは思えないものだった。
降り注ぐ刃の雨を、受け流し、スキルで相殺し、紙一重でかわす。同時に放たれた五本の腕を、片手半剣ソードスキル《ペンタグラム》で全て弾き返し、カウンターで《クレセント》を見舞う。弱点に当てた一瞬の隙を衝いて、キリトをはじめとした攻撃隊が一斉に雪崩れ込む。色とりどりの閃光が弾け、ボスのHPが大きく削れる。
しかし、攻撃隊にタゲが移る様子はない。依然としてアマギ一人を狙い続けている。まるで何かに惹き付けられるかの様に、彼だけを徹底的に攻め続ける。
そう、実際にアスラは彼に惹き付けられていた。
《剣聖》アマギのスキルスロットに突如出現したこのスキルには、数々の効果がある。
1.装備中の全武器スキルの熟練度を1000まで上昇させる。
2.スキル熟練度1000以上が解放され、裏ソードスキルの使用が可能になる。
3.ソードスキルの技後硬直及びクーリングタイムが無効化される。
と言う三つが、現在の熟練度104で使える全てである。恐らくはユニークスキルであろうこのスキルは、しかしメリットだけのスキルではなかった。有効化すると、mobの攻撃が使用プレイヤーに集中するというデメリットがあった。
sightアマギ
無数の斬撃が閃く。軌道を見極め、紙一重で回避する。どうしても避けきれないものはソードスキルで弾き飛ばす。
このような事を、かれこれ一時間。ボスのHPゲージは漸く一段削ったぐらい。単純計算でもあと三時間はかかる。
(……保つ……のか!?)
この先読み技術は、見た目ほど楽ではなく、脳に負担が強いため、あまり使いたくはないかくし球だった。既に軽い頭痛が始まっている。
「っても、そうも言ってられねぇなぁ!!」
アスラが一際大きく咆哮する。パターンの変化だ。同時にさらに腕が倍に増える。これで―――36本。
「っ!?ヒースクリフ!」
「分かっている!あと十分耐えてくれ!」
「ったく、無茶苦茶言ってくれるねぇ!!?」
叫び、ブラッドクロスを握り直した。
sight三人称
ボスの猛攻を、ギリギリでかわす、弾く、捌く。銀色のラインと赤い火花が次々と閃くその光景は、傍目には美しくすら見えた。切り結ぶ無数の刃の、残像か否かを見分けているのは、既に当人の他にはいない。
アマギの
仮想体
(
アバター
)
には、無数のダメージエフェクトが刻まれている。直撃こそ一つもないが、百を超える切り傷は、彼のHPを半分にまで減らしていた。
やがて、永遠にも思える攻防にも、終わりの時がやって来た。
「っ!?マズイ!!」
アマギの先読みは、ほぼ100%の精度を持つ。“視界の補足しうる
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