新暦76年
memory:05 お祭り
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ィーとキテ●ちゃんを足して割ったような人形がいた。
姉さんたちでなく他の客も狙っているみたいだが当たっても前後に軽く揺れるだけで落ちそうな気配が見えない。
「ヴィヴィオ、あれがほしいの?」
「うん。でも全然倒れないの」
「そっか、それなら……」
あの方法を試してみるか。
「ヴィヴィオ、まだコルク残ってる?」
「あと一つだよ?」
「たぶん大丈夫だろ。もう一回あの人形を狙ってみて。それに合わせるから」
残りのコルクをハンドガンに詰めて狙いを定める。
「い、いくよ?」
少し緊張気味にライフルを構えるヴィヴィオに苦笑で答えながら同時に引き金を引く。
―――ターン!
銃声はぶれることなく一つに重なっていた。
「うそぉ!?」
「ビンゴ! やっぱこういうのは協力撃ちでいけるね」
撃った本人であるヴィヴィオはびっくり。
だけどそれはヴィヴィオのみに留まらず、傍から見ていた見物客や屋台のオッチャンも驚きを隠せずにいた。
「さて、取るもの取ったし移動しようか」
「そ、そやなー…。これ以上屋台のオッチャン泣かすわけいかへんし……」
乱獲した景品とオッチャンを交互に見た姉さんが苦笑気味に言った。
そして射的屋から移動する途中、デカウサをヴィヴィオに渡す。
「いいの?」
「もちろん。乱獲したのがあるしね。それに、嬉しそうにしてくれるヴィヴィオを見れたから十分満足だよ」
「あ、ありがとっ、ユーリ!」
カァーっと顔に朱が差すヴィヴィオ。
そしてまたあの視線が…と思ったら随分と違った視線が感じられた。
「あのセリフにあの笑顔……」
「ああいうセリフをさらっという悠莉君って……」
「にゃははー、聞いてるこっちまで恥ずかしいよ」
「どうしよう、顔が熱いかも……」
「不覚にも弟にドキッとしてしまうなんて……」
後ろを見れば顔をそむけたり、頬をかきながら笑ったり、手を顔に当てたりとそれぞれ仕草をしながらどこか顔の赤い姉さんたち。
何朱くなってんだ? と思いながらも先頭を進む。
祭りの最後を飾る花火を見た後、私たちは帰路についた。
-side end-
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