第30話
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〜エレボニア大使館前〜
「やあ、兵士君。元気でやってるかい?」
「オ、オリビエさん!?今まで何をしてたんですか。」
呑気に話しかけて来たオリビエに気付いた兵士は慌てて尋ねた。
「おや、どうしたんだい?」
兵士の様子に首を傾げたオリビエは尋ねた。
「どうしたもこうしたも……。エルモに湯治に行ったきり行方をくらましたそうですね?ミュラーさんが怒っていましたよ。」
「フッ……相変わらず可愛い男だな。」
「って、オリビエ……。まさかあんた、あたしたちと一緒に行動していることを大使館に知らせてなかったの?」
兵士の話を聞いたエステルは平然としているオリビエを呆れた表情で睨んで尋ねた。
「ハッハッハッ。愛を求めて彷徨う旅路は忍ぶものと決まっているからねぇ。それはともかく……中に通してもらえるかな?」
「構いませんが……。ええと、そちらの方々は?」
「遊撃士協会の人間よ。こちらの大使さんにちょっと話が聞きたくてね。それで、このお調子者に紹介してもらおうと思ったの。」
エステルは兵士に正遊撃士の紋章と手帳を見せて答えた。
「なるほど、そうでしたか。身分も確かのようですしお通しできると思いますが……。大使館の敷地内は治外法権となっていますのでくれぐれもお気をつけて。」
「うん、わかったわ。」
そしてエステル達はエレボニア大使館の中に入った。
〜エレボニア大使館内〜
「ほう……こりゃまた立派な建物だな。」
「うわ〜……。カルバード大使館に負けず劣らず豪華な雰囲気の内装ねぇ。」
「壮麗にして力強い雰囲気……。帝国風の調度で内装が統一されているようですね。」
「フッ、エレボニアの威光をアピールする舞台だからね。残念ながら役者の方がやや見劣りしているようだが。」
「何を不穏なことを抜かしているか。」
大使館内の景色に感嘆な声を上げているエステル達とは逆にオリビエは不穏な事を呟き、その呟きに答えるかのように近くの部屋からミュラーが出て来て、エステル達に近付いて来た。
「おお、親愛なる友よ!久しぶりだね。元気にしてたかい?」
「貴様というヤツは……。あれほど常に所在を連絡しろと言いつけておいたにもかかわらず……」
いつもの調子で話しかけて来るオリビエを見て、ミュラーは今にも怒りが爆発しそうな様子だった。
「フッ、これも恋の駆け引きさ。離れているからこそ募る思いもあるものだからねぇ。」
「……エステル君、感謝する。どうやら、このお調子者が迷惑をかけてしまったようだな。」
そしてついにはオリビエを無視して、エステルにお礼を言った。
「あはは……。ま、それほどでもなかったわ。比較的おとな
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