第30話
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はいつもの調子で名乗った。
「フン……君か。何でもエルモ村に行ったきり行方をくらましていたそうだな。あまりミュラー君に心配をかけるのはやめたまえ。もちろん、私にもな。」
ダヴィルはオリビエの調子を無視して、注意をした。
「フッ、これは手厳しい。」
ダヴィルの注意にオリビエは軽く目を閉じて答えた。
「それはともかく……。例の脅迫状の一件で話を聞きに来たそうだな。どんなことが知りたいのかね?」
「えっと………それじゃあ、単刀直入に聞きますけど。大使は脅迫者に心当たりはありませんか。たとえば、エレボニア国内で条約締結に反対する勢力とか。」
ダヴィルの質問にエステルは頷いた後、単刀直入に尋ねた。
「はは、率直な物言いだ。しかしあいにくだが全くもって心当たりはないな。皇帝陛下も条約締結には随分と乗り気でいらっしゃる。それに異を唱える不届き者など我が帝国にいるはずがなかろう?」
「そ、そう断言されると身も蓋もないんですけど……。それじゃあ大使さんは帝国以外の人間の仕業だと?」
ダヴィルの答えを聞いたエステルは溜息を吐いた後、尋ねた。
「当然、そうなるな。おおかた、カルバードあたりの野党勢力の仕業だろう。衆愚政治の弊害というやつだ。」
「そりゃ、どうかと思いますぜ。確かに共和国の与党と野党は毎度のように対立してますが……。たとえ条約が阻止されたとしても大統領の責任になるとは思えない。」
ダヴィルの話を聞いたジンは心外そうな表情で答えた。
「フン、詳しいことは知らんよ。確実に言えるのは、脅迫者が帝国の人間ではありえないことだ。それだけ判れば十分ではないかね?」
「う、うーん……」
ダヴィルの話を聞いたエステルは言葉に詰まった。そこにクロ―ゼがダヴィルに静かに問いかけた。
「……あの、ダヴィル大使。オズボーン宰相閣下は不戦条約について、どのように受け止めてらっしゃるのですか?」
「なに……!?」
クロ―ゼの質問にダヴィルは驚いた。
「ほう……」
「フフ……。なかなか鋭い質問だね。」
一方横で聞いていたミュラーとオリビエは感心した。
「えっと……。そのオズボーンさんって?」
一方クロ―ゼが出した人物の事がわからないエステルは答えを求めて、苦笑しながら尋ねた。そしてエステルの疑問にオリビエが答えた。
「帝国政府の代表者、『鉄血宰相』オズボーン。『国の安定は鉄と血によるべし』と公言してはばからないお方でね。帝国全土に導力鉄道を敷いたり幾つもの自治州を武力併合したりとまあ、とにかく精力的な政治家さ。」
「そ、そんな人がいるんだ……」
オリビエの説明を聞いたエステルは驚いた。
「こ、こらオリビエ君!自
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