第29話
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対勢力が存在するかとか……」
「それは勿論いるわよ。例えば私なんてそうだしね。」
「ええっ?」
エルザの答えを聞いたエステルは目を丸くして驚いた。
「ちょいと大使さん……。あんまり若いモンをからかわないでくれませんかね?」
その様子を見たジンは呆れた後、注意をした。
「あら、事実は事実だもの。私のエレボニア嫌いは貴方も知っているでしょう?」
「そりゃまあ……」
「ふふ、勘違いしないで。すでに大統領が決定して議会も承認した案件だからね。個人的な感情は抜きにして話は進めさせてもらっているわ。」
「そ、そうですか……。それじゃあ他の反対している人たちは?」
エルザの説明を戸惑いながら頷いたエステルは次の質問をした。
「いるにはいるけど少数派ね。それらの勢力も本気で反対しているわけじゃないし。」
「本気で反対していない?」
エルザの話を聞いたエステルは首を傾げた。
「あのね、そもそも不戦条約って実効性のある条約ではないの。『国家間の対立を戦争によらず話し合いで平和的に解決しましょう』って謳っているだけなのよ。そういう意味では条約というより共同宣言ね。」
「その気になれば、いつでも破れる口約束に過ぎないということだね。」
「ふふ、そういうこと。まあ、確かにここ十数年、カルバードとエレボニアの関係は冷えきっていたから……。それにメンフィルとの関係はリベールほどじゃないし………。今回のような機会を通じて話し合いの場が設けられるのは意義のあることだとは思うけどね。」
オリビエの意見に頷いたエルザは話を続けた。
「う、うーん……。確かに脅迫状を出してまで阻止するほどの話じゃないか。」
「あの、エルザ大使。カルバードの関係者が脅迫犯ではないとするなら……誰が怪しいと思われますか?」
エルザの話を聞き考えているエステルと違い、クロ―ゼは真剣な表情で尋ねた。
「ふふ、そうね。個人的な先入観でいえばエレボニアの主戦派あたりが限りなく怪しいと思うけど……。新型エンジンの件もあるしその可能性も低そうなのよねぇ。」
「新型エンジンって……もしかして『アルセイユ』用の?」
「そう、それのサンプルがカルバードとエレボニア、メンフィルの三方に贈呈されることになっているの。不戦条約の調印式の場でね。」
エステルの疑問にエルザは頷いた。
「あ……!」
「フッ、さすがはアリシア女王。まんまとエレボニアとカルバード、さらにはメンフィルを手玉に取ったということだね。」
「ええ……。悔しいけど大したお方だわ。新型エンジンは、次世代の飛行船の要とも言える存在よ。それがサンプルとはいえ手に入るチャンスなんですもの。いくらエレボニアの主戦派にし
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