第1章転節 落暉のアントラクト 2023/11
9話 災禍を纏う凶刃
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来たんだー。でも、どうしてここが分かったのかな。ギルドの仲間の人は絶対に来ないって聞いてたんだけど」
「俺はその話とは関係ない。運良く気が付いただけだ」
「運良く、ね………どうかな。どう見ても、運が悪かったんじゃない?」
「それは結局のところ全部が済んでからじゃないと判らないだろうよ。幸い、オレンジプレイヤーばかりだ。俺のカーソルはグリーンのままでいられるんだ」
「そうだね。一方的に殺されて死んじゃうか、それとも少しは抵抗してみせるのか。どっちみち派手に泣き叫びながら死んでくれたら最ッ高に楽しいから、それだけはお願いね〜?」
舌戦も終え、革鎧の男は右手をゆったりと掲げ、指を鳴らす。
乾いた音が空間を震わせ、グリセルダさんの周囲を取り囲んでいたり、端に座っていたりしたプレイヤーが一斉に周囲に殺到する。やはり最前線に根城を構えるだけあって、装備はどれも一級品であることが窺える。真っ当なプレイヤーとして前線にいたならば、さぞかし優秀な戦力であった事だろうが、既に望めない話をするだけ無駄というもの。その前線にあっても通用するような装備で身を固めたレイド相当のプレイヤーが俺に武器を向けている。その事実だけを受け止めるとしよう。
――――これもまた已む無しか。
「じゃ、さようなら。正義の味方クン」
「あれ、リーダーは遊ばねェんスか」
「だって、ザコを相手にするのって時間のムダじゃん? それなら見てるだけにしとくよー」
「………だったら、コイツは俺達の獲物ってことで」
遣り取りを終え、下っ端は獰猛な笑みを浮かべて武器を弄ぶ。
その行為に如何なる意味があるのか度し難いものの、少なくとも、俺を害する為に得物を取っていることは間違いない。犠牲を出さないで事態を収束させるのは相手の態度に因るだろうが、望むべくもないようだ。
「なァ、これだけの人数相手にするなんて思ってなかっただろう? どうよ、恐いかよ?」
先程、革鎧をリーダーと呼んでいたメイス使いが語り掛けてくる。
刃も交えていないのに勝ち誇った気でいるのは、これまでも敗北を知らなかったこそだろう。
一方的に命を奪える優越感が表情から滲み出て見えるが、それは同時に危ういものだと思った。己が価値観や経験則しか見えていないからこそ、彼等は強者で在れる。それ以外を殺されるだけの玩具として見下せる。とても危い固定観念だ。
「それだけの人数がいて、俺一人に様子見か。高が知れる」
「なんだと?」
「群れるだけの能無しだって言ったんだよ。分かりやすくていいだろ?」
「お前、状況分かってねェだろ? こっちはいつだってテメェを殺せんだよ!!」
「いいねぇ気楽で。………こっちは気乗りしなくてどうしようもないってのに」
「さっきか
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