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もう一人の八神
新暦76年
memory:03 地球へ
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渡すが悠莉の姿はない。
それにホッとしてソファーに深く体重をかけた。

だけどこのときはやては気付かなかった。
台所の隅で小さな影がなのはとの会話を聞いていたことを。

-side end-

-side 悠莉-

姉さんの話から数日後。
私と姉さんは管理局の転送ポートから第97管理外世界『地球』の海鳴市へとやってきた。

「っと、無事に到着やな。悠莉、どんな感じ?」

「知らないところへ旅行に来たみたいでわくわくする。それにしてもここは?」

辺りを見る限りどこかの庭って感じなんだけど……それに足元ににゃんこが…ん? にゃんこ?

―――にゃーん

猫は一鳴きすると腕の中に跳びこんできた。

「わっと!?」

慌てて猫を抱きかかえると頭を擦り付けてきた。
人懐っこいなと思いながら喉元や額を軽くうりうりと撫でた。

何処からか猫を探す声が聞こえた。
その声は次第に大きくなって一人の女性が奥の方から出てきた。
そして姉さんの姿を見るなりこっちに駆け寄った。

「はやてちゃん!」

「すずかちゃん! 久しぶり!」

姉さんも同じように駆け寄った。

「うん! 久しぶり。こうやって直接会うのははやてちゃんたちがお仕事できた去年以来だね」

猫を抱きながら久しぶりに会って楽しそうに話している姉さんたちを見る。

あの人は一体…? 姉さんたちの知り合いみたいだけど……。……って、イタタタ、無理して頭によじ登るなよ。……ふぅ、どうしようこいつ。まぁ、爪を立ててないから別に構わないんだけど、頭が重い。

そんなことを考えていると頭に乗る猫が鳴いた。
それに反応してこっちを見た女性と目があった。
姉さんも視線を追って私を見ると忘れてたと言わんばかりに頭を掻いた。

「いやー、ゴメンな悠莉、つい話に夢中になってもうて。紹介するな、こっちは月村すずかちゃん。私やなのはちゃん、フェイトちゃんの友達。民間協力者としてお家の庭に転送ポート置かせてもらってるんよ。そんでもってすずかちゃん、この子は私の自慢の弟の悠莉や」

「どうも初めまして、数か月前から正式に弟になった八神悠莉です」

「こちらこそ初めまして、月村すずかって言います。実は悠莉君のこと、いろいろとはやてちゃんにメールとかで聞いてるんだ。よろしくね悠莉君」

そうなんだ。姉さんが変なこと言ってなきゃいいんだけど。

「よろしくお願いします月村さん」

「すずかでいいよ」

すずかさんとの自己紹介を終え、一旦すずかさんのお宅へと招かれることになった。
その途中で姉さんに聞くことがあったことを思い出した。

「そういえば、なのはさんとフェイトさんとヴィヴィオはどうしたの? もしかして別の転送ポート?」

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