少年は真剣で恋するようです 弐
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を基準に考える方がおかしかったわ。
「理解したとは思うけれど、一応悪役っぽいし聞いておこうかしら?降参するなら命だけは
助けてあげるわよ?」
「……主の命は脅威の排除。それ以上でもそれ以下でもない。」
「はぁー………分かったわよ、貴方達とっ捕まえれば主さんも考え改めるでしょう。」
ガックリとやるせなさを覚えながら三人に近づく。防御主体に切り替えたのか、糸の向こうで
構えたまま動かない。穴熊って嫌いなのよねぇ。
『あー、あー、テステス。聞こえてっか?そこまでにしてくんねぇかな。』
「帝様!?しかし……!」
『マジでやられちゃ気付かれる。命令は撤回だ。お客さんを俺のとこまで連れて来てくれ。』
「は、畏まりました。」
面倒になって来た所で、帝とやらがスピーカーで不躾にも私達を呼びつけた。
こちらを伺う三人に敵意はありません、と肩を竦めて、またしても船を漕いでいたシュウを
横抱きにして、結界を握り潰して廊下に出る。待ち構えていた従者部隊が私達を見るやいなや
構えるのにまたしてもゲンナリし、事情が変わった事を伝えたヒュームに続いて、今度は最上階へ
向かう。幾分か豪華になった廊下を抜け、同じ様な扉を潜る。その部屋の左右には従者がまたズラッ
と並び、その中央・・・上座にどっかりと座る、なんだか見た事のある男性が口を開いた。
「初めまして、俺は九鬼家当主の帝だ。まずは重ね重ねの無礼を詫びさせてくれ。相手の出方が
分からん以上、こうするしかなかったんでな。」
「ま、言いたい事はあるけれど、シュウが怒ってないから流してあげる。」
「寛大だな、感謝する。」
二度も素直に頭を下げた、白髪の男性。ぶっちゃけ英雄君のお父さんね。長めの髪をヘアピンで
あっちこっち押さえている妙な髪形をしているけれど、今まであった中で一番、カリスマと呼べる
オーラを強く放っている。成程、流石はこの世界に名立たる財閥の当主、ね。
「さて、さっきクラウディオから軽く聞いたと思うが、九鬼は今、川神であるプランを実施
しようとしている所なんだ。計画名を"武士道プラン"っつーんだが。」
「ふぅん、それで?」
「簡単に言っちまうと、過去の偉人を復活させて、現代にその知恵やカリスマを活かして貰い、
かつ切磋琢磨して行く……って計画なんだがな。そこに、あんたらが風の様に現れて、色々掻き
回しちまって目を付けられた、っつーのが今回の事の顛末な訳だ。」
一旦話を区切った帝をジトっと睨み、膝に乗せたままの頭を撫でながら思案する。
要するに、莫大な時間とお金のかかった計画を躓かせた石をどうしよう、って事よね。問題は
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