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少年は旅行をするようです
少年は真剣で恋するようです 弐
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「いきなり不躾になったわねぇ。見ての通り、ただのか弱い美人姉弟よ?」

「クッ!武神を簡単にあしらえる奴がか弱いとは、冗談もいい所だ。」

「ゾズマ、笑う所ではありませんよ。」

「申し訳ない、失笑だった。」


本当の所を言ったのに、失礼な事を言って来るカポエイラー(決めつけ)。しかも今の質疑応答で

ヒュームは闘気を殺気に変え、クラウディオは後ろ手に何か動きを見せる。


「主の命で優しくしている内に答えろよ、小娘。挑発を二度我慢はせんぞ。」

「やれやれ、気の荒い事だ。説明いたします。"武神"川神百代に勝利した時点で、我々はあなた方

二人の調査に当たりました。第一に、あなた方が在校していた麻帆良学園。このような物は存在

致しませんでした。」

「そんな訳が………?」


衝撃の事実に、カマかけの線も考慮してシュウを見ると、思いっ切り明後日の方を見て吹けない

口笛を吹いていた。・・・致命的すぎるミスしてどうするのよ。

いえ、でもおかしいわね。麻帆良のホームページだってあったし、転校だってちゃんと出来たのに?


「正確に言いますと、住所の違う麻帆良学園はありましたが、それも十年前廃校になっております。

第二に、あなた方の亡くなったご両親。世界中の過去二十年分の事故・事件の記録を探しましたが、

その様な記録は出て参りませんでした。これは序列二番"星の図書館"が探し出した上での情報。

つまるところ、九鬼はあなた方を正体不明の脅威となりました。」

「近々、川神では大がかりなプランが実行される予定だ。その前に脅威は排除せねばならん。」


ふーむ、つまりどういうことなのかしら?私達の持っている情報と、彼らの掴んだ情報が違う。

確かに彼等の情報は正しいけれど、私達は"擬装"をして、入学した。だからこそ、"出てこない"

なんておかしい。


「シュウ?」

「んん〜〜〜……自動改変機能かなぁ?『特異性を認識出来ない』って言う特性のせいで、特異

すぎる存在はそのまま別の物として、辻褄が合う様に創造し直された?その過程で、書き換えた

情報も辻褄が合う様に消えちゃった、ってところかなぁ〜?大変だねぇ〜。」

「全っ然大変だと思ってないわよねぇ……。」


当の管理者が推測するしかない域だけれど、まぁ、多分は設定を直さないで適当に介入した

ツケが早くも回って来た、って事かしらね。それさえ楽しんでいるのだから困ったものねぇ。


「ま、いいわ。それで、そちらの要求は?」

「今すぐこの街を出て行き、九鬼の監視の下、大人しく暮らせ。さもなくば―――」

「―――さもなくば何よ、小僧共。」
ゴウッ!!

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