第九話 戸惑う心その四
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「そうした生物もいるし」
「前に話したよね」
「ええ、性転換はごく非常に稀だけれど」
「人間でも起こる」
「そうしたものなのよ、けれど」
「それがだね」
「まさかね」
優花を見ての言葉だ。
「自分の弟に起こるとはね」
「思ってもいなかったから」
「だからね」
それが為にというのだ。
「姉さんはずっとよ」
「怖くて」
「迷っていたの」
「人間は誰でもだね」
「私は優花を信じて受け入れる」
このことも言ったのだった。
「ずっとそう決めていたけれど」
「それでもね」
「心の奥底からそうなれるか」
「そのことは」
「それは非常に難しいことよ」
「姉さんもだね」
「だから優花がね」
また彼に話を戻した。
「龍馬君を、そして私をね」
「何処かで信じられないことは」
「どうしてもあるのよ」
「人間にはだね」
「心の奥底から信じられる」
それにはとだ、優子は言っていく。
「それは物凄く難しいことなの」
「そうなんだね」
「そう、だから龍馬君を信じられたら」
それならというのだ。
「優花にとっても凄いことよ」
「じゃあ」
「姉さんは信じるべきだと思うわ」
「龍馬もだね」
「心の底からね」
「絶対に」
「人を最後の最後まで奥底まで信じる」
口で言うには簡単だがそうすることはというのだ。
「とても勇気がいることだけれどね」
「じゃあ僕もだね」
「勇気を持って欲しいわ」
弟のその目を見ての言葉だ。
「普通でも凄く難しいことだけれど」
「今の僕には」
「ただでさえ現実を受け入れるにはね」
それにはというのだ。
「凄く苦労が必要だけれど」
「それに加えてだから」
「本当にとても難しいわ」
「けれどだね」
「龍馬君を最後の最後まで、心の底から」
「信じられる様にね」
その為にというのだ。
「勇気を持ってね」
「じゃあ」
「考えたうえで」
「覚悟を決めるんだね」
「そうしてね」
「覚悟を決めるにも勇気が必要で」
また言った優花だった。
「そして信じるにもだね」
「勇気が必要なのよ」
「どうするにしても」
「逃げることも出来るわ」
「逃げる?」
「そうすることもね」
勇気を持って受け入れることも信じることも出来るがだ、それとは別にこうした選択肢もあることをだ。優子は優花に言ったのだった。
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