第二十八話 誤解のもとその二
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「わかったかしら」
「面倒臭いですね」
「それがまず駄目なの」
また阿波野君を怒りました。
「真面目にしなさい。そんなことだと立派な用木になれないわよ」
「用木!?」
用木と聞いて阿波野君は目を少し丸くさせてきました。
「それって何ですか?最近ちょこちょこ聞きますけれど」
「ああ、まだ習ってないの」
「ええ。何ですかそれって」
「天理高校卒業したらなれるんだけれどね」
「ええ」
「陽気ぐらしの世界を建設する為に思し召しでお引き寄せ頂いた人のことよ」
簡単にこう説明しました。
「陽気ぐらしは知ってるわよね」
「はい」
これはもう習ったみたいです。
「一応は」
「それを実現させる為にはやっぱり御用立ての人が必要だからね」
「そういう人のことなんですね」
「天理高校卒業したら皆そうなるのよ」
「へえ」
それを聞いて目を少し丸くさせた阿波野君でした。
「そうだったんですか」
「それ知らなかったのね」
「初耳です」
「そうなの」
私はもう子供の頃から聞いて知っていましたけれど阿波野君は違いました。天理教については何もかもはじめてなのがここでもわかりました。
「知らなかったのね」
「それにしても用木ですか」
この言葉に何か思うところがあるみたいです。
「面白い言葉ですね」
「面白いかしら」
「はい。今まで聞かなかった言葉ですから」
何もかもがはじめてって子の言葉で聞いていてこっちもかなり勉強になります。
「色々と面白い言葉ありますね、天理教って」
「面白い、ね。何か聞いている私も興味が出て来たわ」
「僕にですか?」
「何でそうなるのよ」
商店街を登りながら阿波野君に返します。このお気楽さというか能天気さというか図々しさは。何処から出て来るものかと思います。
「阿波野君じゃなくて。新しく勉強する人よ」
「じゃあ僕じゃないですか」
「阿波野君だけじゃなくて全体よ」
とにかく理解する気がないみたいなので少し怒って返しました。
「新しく勉強する人皆。わかった?」
「じゃあそういうことで」
「そういうことって何よ」
「まあまあ。ところでですね」
話を強引に変えてきました。
「先輩、ちょっと御聞きしていいですか?」
「何よ」
「今神殿に向かって歩いてますよね」
「ええ」
その通りです。行き交う人達の中には天理教のはっぴの人が目立ちます。
「そうだけれどどうしたの?」
「お店何処に入るんですか?」
こう私に尋ねてきました。
「お饅頭ですか?それともおこしですか?」
「ソフトクリームだけれど」
何となくそんな話になっていました。
「助けてもらったからね。御礼よ」
「有り難うございます」
「ソフトでいいわよね」
一応このことを尋ね返
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ