第二百五十四話 決着その十二
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「安らかに眠るべきじゃ」
「では葬り弔い」
「安らかに寝てもらいますか」
「人は死しても魂は残る」
信長は確かにこの世を見て動く、しかし実は魂も死んでからの世のことも否定はしていない。それでこう言ったのである。
「その魂が怨念を持ってな」
「怨霊になぞならない様に」
「だからこそ」
「葬るのじゃ」
是非にというのだった。
「わかったな」
「そしてその恨みを消して」
「二度と天下に祟らぬ様にする」
「そうされますか」
「そうする、最早怨みはいらぬ」
それはというのだ。
「それが国を乱す元じゃ」
「では」
「あの者達は怨みによりあの様になった」
まつろわぬ天下の害になったというのだ。
「それを消すのじゃ、わかったな」
「はい、では」
「あの者達を弔い」
「その魂が二度と祟らぬ様にして」
「そこからも天下を安らかにしますか」
「そうしよう。もうこの国はまつろわぬ者に惑わされてはならず」
魔界衆を滅ぼしたうえでの言葉だ。
「そしてじゃ」
「怨霊にもですか」
「あの者達にも惑わされることのなき様にですか」
「そうされますか」
「もう二度と」
「そうする、ではよいな」
魔界衆の者達を葬ることも言うのだった、そしてだった。
信長は勝鬨の後で実際に彼等を葬り弔わせた、それによって彼等が二度と祟らぬ様にさせた。そのことも済ませてだった。
彼はだ、こう言ったのだった。
「これよい」
「ですな、もう祟りはです」
「あってはならぬ」
崇伝にも言うのだった。
「ここには寺か社を築いてな」
「そのうえで、ですな」
「もう二度とじゃ」
それこそというのだ。
「祟りを起こさぬ様にさせるのじゃ」
「そうされますか」
「太宰府天満宮と同じじゃ」
ここで信長はこの宮の名を出した。
「あそこもであろう」
「はい、菅原道真公の宮です」
「あの御仁も怨霊となった」
俗に言われていることだ、朝廷は荒ぶる存在となった彼の魂を慰める為にその宮を築いたのである。
「そうならぬ為にも」
「ここにそうしたものを置き」
「怨霊とならぬ様にしようぞ」
こう言ってだ、信長はすぐにその場にそうしたものを築かせることを決めた。そしてその話をしてからだった。
軍勢全てにだ、こう言った。
「では戻るぞ」
「はい、安土に」
「そうしましょうぞ」
家臣達も兵達も応えてだ、そしてだった。
彼等は信長に率いられ意気揚々と安土に戻った。四十万もの大軍は笑顔で周防から都、そして安土に向かうのだった。
第二百五十四話 完
2015・11・28
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