第二百五十四話 決着その八
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「天下、民の為に働き尽くして死ぬ」
「長生きせずともか」
「それが果たせれば本望」
明智は天海に強い声で言い切った。
「御主とは違う」
「そう言うのか」
「そうじゃ、ではじゃ」
明智はあらためて言った。
「御主との勝負も終わらせる」
「ならば来るのじゃ」
天海は己の得物を明智に振るった、しかし。
明智はその横からの一撃を跳んでかわしてだ、そのうえで。
天海の脳天に一撃を浴びせた、刀のそれを。
それを受けた天海は顔の真ん中まで断ち切られてだ、動きを完全に止めて。
切られた場所から血と脳漿を出しつつだ、こう言った。
「抜かった・・・・・・」
「御主がわしと同じ歳でもじゃ」
「今の拙僧の一撃はか」
「かわせた」
それが可能だったというのだ。
「充分にな」
「そう言うか」
「御主の動きは見切っていたからな」
だからだというのだ。
「それは出来た」
「そのうえで拙僧を」
「今の様に切られた」
それが出来たというのだ。
「そして果たせた」
「そうだというのか」
「ではわしはこれより天下の為に働く」
「拙僧は天下をこれからも」
「諦めることじゃ」
明智は己の前でだ、頭を切られながらもまだ言う天海に告げた。
「脳を切った、もう助からぬ」
「この程度」
「この程度の傷ではない」
明智は天海にこうも告げた。
「御主の傷は明らかに死ぬものじゃ」
「頭がか」
「そこまで断ち切られ生きられる者はおらぬ」
それこそ誰一人というのだ。
「諦めるのじゃ」
「ここで諦めては」
まだ動こうとする天海だったがそれは果たせず。
遂にその場に倒れ伏した、明智もまた勝った。
信長は老人と闘っていた、老人はその手にやたらと曲がる奇妙な刀を手にして信長に振るっていた。しかし。
信長はそれを全く寄せつけない、その手にしている槍でだ。
刀を完全に防ぐ、そうして言うのだった。
「幾ら妙な刀でもじゃ」
「当たらねばか」
「何ということはない」
実に落ち着いた言葉だった。
「刀と槍ではそもそも間合いが違うわ」
「そしてその槍でか」
「御主を倒す」
こうも言ったのだった。
「今からな」
「そうは言うが」
老人は諦めていない声だった。
「させぬ」
「そう言うと思っておった」
「わしの考えを読んでおるのか」
「御主の名は知らぬ、いや」
「名は蘇我という」
「蘇我、蘇我氏か」
「あの蘇我氏ではない」
かつて大和朝廷に仕えていた権門の家ではないというのだ。
「あの家は渡来の家であるな」
「そういえばそうであったな」
「あの者達は我等に勝ちその姓を奪い取ったのじゃ」
「それであの家は蘇我氏となったか」
「そうじゃ、我等は術を使い一族を束
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