第三百二十六話
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第三百二十六話 チーズとサラミ
小田切君は自分で赤ワインのコルクを抜いた、そしてグラスにそのワインを入れてチーズを口にしつつ飲みはじめた。
その小田切君にだ、博士もまた自分のワインを出してコルクを抜いて飲みながらこんなことを尋ねた。
「君は今日はチーズとサラミか」
「はい、そうしたものを口にしたくて」
「赤ワインには合うな」
チーズとサラミがというのだ。
「そうしたものがな」
「そうですね、ただ博士は今日は」
「白じゃ」
「それとお刺身と天麩羅ですか」
「和食も口にしたくてな」
それでというのだ。
「見ての通りハマチと蛸の刺身と海老やキス、烏賊の天麩羅じゃ」
「そうですね」
「和食もまたよし」
博士はイタリアやスペインの料理が好きであるがだ。
「白ワインにも合う」
「ううん、和食ですね」
「今日のわしはな」
「いいですね、そっちも」
「そうじゃろ、和食は贅沢じゃ」
刺身を山葵醤油で楽しみつつだ、博士は小田切君に答えた。
「最高の馳走の一つじゃ」
「お刺身も天麩羅も」
「美味い、それ即ちじゃ」
「贅沢でご馳走ですね」
「そうじゃ、美味いならな」
まさにというのだ、これは博士の考え方だ。
「それで馳走なのじゃよ」
「じゃあ僕が今食べているのも」
そのチーズにサラミもとだ、小田切君は応えた。
「贅沢なご馳走ですね」
「実際にいいものを食べていると思っておるな」
「はい、とても」
「なら贅沢な馳走じゃ、その馳走を楽しんでな」
「後はですね」
「寝るとよい」
「じゃあそうさせてもらいます」
小田切君は博士に応えた。
「それでまた明日」
「頑張ってくれるな」
「そうさせてもらいます」
「歯を磨くことも忘れぬ様にな」
「わかりました」
「寝る前には歯を磨くことじゃ」
歯科のことにも詳しくてだ、博士はこのことを話すのも忘れていなかった。
「だからよいな」
「じゃあ飲んだら歯を磨いて」
「寝るのじゃ」
小田切君に言ってだ、博士も実際に自分も歯を磨くことを考えていた。寝る前に。
第三百二十六話 完
2016・3・23
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