第二十八話 魅惑の妖精亭にて
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居るかというと、カトレアに中々会えない寂しさを紛らわす為の気晴らしだった。
「あら〜♪ ナポレオンちゃんいらっしゃ〜い♪」
『魅惑の妖精』亭の店主スカロンが、自慢の肉体をクネクネさせながら入店したマクシミリアンを迎え入れた。
『下町のナポレオン』
と名乗り、マクシミリアンは『魅惑の妖精』亭の常連になっていた。
「こんにちは店長、今日も楽しませて貰うよ。コレ、ジェシカちゃんに渡してあげて」
マクシミリアンはスカロンに安物のぬいぐるみを渡した。ちなみにジェシカとはスカロンの娘で今年で5歳になる。ルイズと同い年だ。
「トレビアァ〜ン! ありがとうねぇ〜ん、ジェシカも喜ぶわぁ〜♪」
先月、スカロンは妻を亡くし、その日以来オカマな物腰と言動の変態になってしまった。
ジェシカも母を亡くしたショックで一時、塞ぎこんでいたが、生来の芯が強さとスカロンたちの励ましで、現在は元気を取り戻していた。
「いらっしゃいませ〜、お席へどうぞ」
スカロンと別れ、見目麗しい店員に案内されたマクシミリアンは一時の安息を楽しむ事にした。
……
「最近ね、チクトンネ街にマダム・ド・ブランの洋服を扱う店が出来たの」
マクシミリアンに宛がわれた女の子は、マリーという名前で抜群のプロポーションを持ち、店では5本の指に数えられるほどの人気を誇っていた。
ちなみにマクシミリアンは、ポケットマネーから酒代を出している。
「マダム・ド・ブランか、最近良く効く名前だな、そんなに良い服を扱っているのか?」
「なんでも、何人かの芸術家のパトロンをやっていて。その芸術家達にデザインを任せているそうよ」
「へー」
「ねぇ、ナポレオンさん、今度、その店を見に行かない?」
(要するに買えということか)
もとよりマクシミリアンは、火遊びはするつもりは無い。
「そうだな〜、どうしようかな」
考えるそぶりをした。
マリーを始めこの店の女は男を相手にするプロだ、この言葉で脈が無い、と踏んだ。
「あ、他のお客さんが呼んでるから、また指名してね」
「あらら、ふられちゃった」
マリーは去り、マクシミリアンは一人酒をしていると、スカロンの娘ジェシカが寄って来た。
「おお、ジェシカ。元気になったみたいだな、お兄さん嬉しいよ」
「ナポレオンの兄さん、人形ありがとう、大事にするわ」
ハルケギニアでは珍しい黒髪をなびかせ、ジェシカはマクシミリアンの隣に座った。
「お酌するわ」
「お、ありがとう」
空になった木杯にワインを注いだ。
「美味しい?」
「……うん、美味いよ、何処のワイン?」
「タルブ村、私の実
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