降り積もる灰燼から
44.トライアングルハーモニー
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懐古する記憶、想ひ出の残像。
これはそう、アズライールという冒険者がまだまだ駆け出しだった頃――。
冒険者は普通、魔法を3つしか使えない。そのように説明では聞いた。
しかし、何故3つしか使えないのか。俺はそれが気になった。
「なぁオーネスト、何で人は魔法を三つしか覚えられないんだよ?ファンタジーとかでは複数使えたりするじゃん」
「人が神に到らないためだ」
「………えっと、詳しくお願いします」
オーネストは露骨に舌打ちしながらもちゃんと説明を開始した。舌打ちで心を抉ってからちゃんと説明するという辛辣親切なスタイルには最近慣れてきた自分がいる。っていうか、その一言で察せとか無理あるだろ。
「まずは人間の話だ。人間は……少なくともこの世界では神の創造した存在だ。限りなく神に近い容姿と神には程遠い能力を与えられた神のデッドコピーに過ぎない。そして神が那由多の存在なのに対し、人間は連中からしたら刹那の瞬き程しか存在できない脆弱な存在だ」
「確かに。この街の神様って軒並み年齢億オーバーだったし」
ヘスヘスとかロキたんとかまるで歳食ってるようには見えないのに実はとんでもないご老体だ。というか、神は年齢を重ねないのでご老体という言葉も当てはまらない。あれが本当ならば、なるほど確かに神は限りのない存在なのだろう。
「だが、相対的に見て神には一つだけ人間に劣る部分がある。それが『可能性』……僅か100年前後で爆発的に成長する、人間が人間たる所以だ」
「成長性……体か?」
「お前今絶対ヘスティアのこと想像したろ。あとロキの奴も」
ダレがチビだい!!とぐるぐるパンチしてくるどっかのヘスヘスをものの見事に思い浮かべたが、脳内オーネストが説明のために蹴り飛ばした。ダレが胸元大平原や!!とぐるぐるパンチしようとしたロキたんは脳内オーネストの一睨みで黙りこくる。オーネストめ、俺の脳でどれだけ猛威を振るえば気が済むんだ。
変な妄想してたらオーネストが睨んできたので、俺は慌てて妄想を打ち切った。
「……成長性ってのはそんな限定的なものじゃねぇ。もっと広義での成長だ。個体差的な力の増減……洞察力や精神年齢……人間に触発されて多少考え方が変わる神はいるが、どいつもこいつも根本的、本質的な意味では成長しない。何故なら神となったことで存在そのものが完成されてしまっているからだ」
「成長しないっつうか、成長する必要がないって感じだな。どんなに時間が経ってもずっとそのまんまだ」
「ああ、連中は成長する必要がない。そういう世界に生きている。だが人間はそうはいかん。産まれたからには生きねばならん。生きるためには知識も肉もありとあらゆるものが必要になるし、それらをある程度揃えると今度は夢だ理想だと文化的な欲求を追求した
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