降り積もる灰燼から
44.トライアングルハーモニー
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っ壊すクラッシャーでいやがりますからね!!」
「流石は俺のことをよく分かっているな。理解ある同居人がいてうれしい限りだ」
とうとうオーネストの本気スレスレのジョークまで飛び出し、笑顔がこぼれる。
俺達に未来はいらないが、きっと明日が来ても俺達は仲良しでいられる気がする。
こういうの、前の世界じゃずっと無縁だったから無性にうれしく思ってしまう。
(何だかな……俺もオーネストも唾棄されて然るべき碌でもない存在な筈なのに、メリージアといると救われた気分になっちゃうんだよなぁ)
こういう感覚は別の時にも覚える。マリネッタといるとき、リリといるとき……守るべき対象がいるとき。だからこんな時間が積み重なっていくたびに、きっとオーネストの中でも同じものが重なっている筈だ。
――オーネスト。お前もこの感覚、嫌いじゃないだろ?
言葉に出さずに目線を送ると、オーネストはふん、と鼻を鳴らした。
俺にはそれが、「否定はしない」と言っている気がした。
= =
――アズ様とオーネスト様の話はいつも難しい。
食事の後片付けをしながら、メリージアは内心でぼやいた。お二人の考え方はある意味では斬新で、ある意味では異端的……とゴースト・ファミリアの面々は言うが、メリージアには実感がわかない。
ただ、そんな折に二人がメリージアの事を少しでも気にかけてくれるだけで、幸せになれる。
魔法を授けてくれると言う話の時も二人はメリージアに持たせる魔法を慎重に選んでいた。それだけ自分が大事にされていると、どうしても嬉しくなってしまう。二人はまるで親のようで、友のようで、そして恋人のようで――。
(な、なに内心で舞い上がっちゃってんだよアタシは……)
自分で自分のピンク色の発想が恥ずかしくなりながら、ちらりと二人を見る。
アズは調味料を棚に仕舞い、オーネストは食後のティーセットを持ってメリージアのいる流し台に歩み寄っている。とても広義で見れば、二人と夫婦の間柄でもおかしくはないかもしれない。いや、夫が二人いるというのはおかしいが、その辺は愛があればいいと思う。
(――って違う違う!アタシはお二人に仕えるメイドの見習い!!だから主人とそう言う事を望むのは行き過ぎで、そういうのは一人前になってから……って一人前のメイドになっても夫にはなんねぇよ!?)
どうにも今日は舞い上がり気味だ。人生で初めて『魔法』という破格のプレゼントを貰った影響で高揚感が収まる気配を見せない。心地よい心臓の高鳴りを抑えられないまま、メリージアは皿を洗う。
後ろから近付いたオーネストが横で一緒に皿洗いを始めた。ダンジョンに潜らないときはいつもこうして家事を分担する。夫婦とまではいかなくとも、
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