降り積もる灰燼から
44.トライアングルハーモニー
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可能性があるのにどうして3つだと決めつけにかかっている?どうしてその中でエルフなんかの一部種族の魔法的優越を放置している?」
確かに種族的な伸び率の違いを差し置いても、魔法だけは条件が変だ。明らかに一部の種族だけ優位の構造になっている。それでいて人間に魔法を使ってほしくないと言う割には、エルフ等が覚えるのは別にかまわないと来たものだ。
小さく唸りながら考えを纏めると、自分が口にした言葉がふと思い出された。
『精霊と交わったり加護を貰った一族は特殊な才能を得る』――。
人と神との契約に魔法は絡んでいないが、精霊と人との契約には魔法が絡んでいる。もしもこの精霊と2種も3種も交わっていったら、やがて人間はそれほどの加護をその身に得るのだろうか。恐らくこんなことを人間、若しくは精霊が計画的に行ったとすれば、神の恩恵に関係なく魔法は増殖していく。
「もしかして、精霊と交わったことで覚える魔法の数を制限して、精霊との上下関係をはっきりさせるため……?」
「ほぼ正解だ。より正確に言えば……神は精霊に反乱されるのが怖いんだよ。だから自分たちの下にいる方がメリットが大きいように見せかけつつ、精霊の力をダイレクトに反映する魔法のスロットには大きな制約をかけた。魔法の伝授によって神の恩恵を越えた人間が出現すれば、神の立場も面目も丸つぶれだからな」
「でもそれじゃ一部種族の優越性が説明できないんじゃ?」
「一部の種族にだけ魔法の優越を与えれば、人間は種族的な違いがあるから自分が魔法を覚えられないのはしょうがないと諦めがつく。逆に優遇されてる連中は『普通の種族では一つも覚えられない魔法をこんなに使える自分たちは魔法に優れているんだ』と一種の思考停止状態に陥り、魔法の根源的な部分をあまり考えなくなる。結果的には最高のさじ加減として現代も残っている。ま、後詰の策と言った所か」
「………話は最初に戻るけどさ、もしかして『人が神に到らないため』って……精霊の力を借りて人間が神の域に到るか、もしくはそういう方法で精霊が敵をけしかけてくるのを防ぐためってことだったのか?」
「俺はそう考えている」
そう締めくくったオーネストは、とびっきり皮肉の利いた笑顔で地面をかつかつと蹴った。
「何せ、現にこうして盛大に神に弑逆の意を示した精霊がいるからな……」
「地面……地下………あ、嫌〜な事に気付いちゃったかも。お前もしかしなくてもダンジョンの事言ってるだろ?」
本や一般常識では「出現した原因は不明」とされているダンジョンの秘密を、オーネストは世間話でもするようにあっさりと暴露した。神の下位存在である筈の精霊の神に対する反乱という、空前絶後の大スケールだ。
「そうさ。このダンジョンの主――あるいは『魔王』とでも称しておくか?天上の神
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