暁 〜小説投稿サイト〜
俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
降り積もる灰燼から
44.トライアングルハーモニー
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がる。挙句、死が近づくと今度は永遠の命を求めたり……始終忙しい連中が殆どだ」

 だが、とオーネストは続ける。

「その忙しさが人間の成長性の本質だろう。神は何億年経とうがレベル100のままだが、人間はレベル1から死ぬまで果てしなく伸びる可能性がある。そして有限であるが故に焦り、前へ進む。現にダンジョンが出現した古代、人間は神の予測を越えた『英雄』となって敵と戦った……さて、ここからが魔法に関連する話になる」
「あ、そっからなんだ……」
「お前もこれくらいは知ってると思うが、自分の作った玩具の思わぬ遊び方を発見した神共は暇つぶしに次々地上へと舞い降りはじめた。『世界を脅かす魔物に対抗する力を与えるため』という大義名分を引っ提げてな。つまり、人間に恩恵を与えて眷属にするという一連のシステムの誕生だ」
「俺がギルドで聞いた話と比べて神の傲慢さが目立つ解釈がされてるんだけど………私怨混じってない?」
「純然たる事実だ。ともかくだ、この際に神々の間である締約が結ばれた。それが、神が人に与える恩恵――より正確にはそれを制御するシステムを完全に統一することだ」

 それを聞いていて俺はロキたんからちらっと聞いた話を思い出していた。曰く、人間を本気で強化したいんなら神の力で無理矢理力を与えればいいけど、それをやると恩恵のルール違反だし面白くもない――そんな話だった。つまりオーネストの言う完全統一がロキの口にした恩恵のルールなのだろう。
 恩恵というシステムを統一することで、神の気まぐれによる「ずる」を防止し、尚且つ過ぎた力で人間が暴走しないようにする……目的はそんな所だろう。俺がその予測を口にすると、オーネストは「概ね正しい」と言った。

「但しそれはあくまで多数意見だ。実際には違う側面もある……いいか、恩恵というのは曲がりなりにも神の力を分け与えているんだ。つまり恩恵を受けて成長力を更に爆発的に高めた人間とは、より神に近づいた存在とも解釈できる。これに一部の神は強い危惧を示した」
「自分の絶対的な立場が脅かされる。だから制限を加えようって話か……?全然そんな風には思えないけどな。街ゆく冒険者は誰しも人間の域を超えているようには見えないし、あのオッタルとかいうムキムキも神に到ってるとは到底思えねぇ」
「だろうな。逆を言えば、多少成長性を高めた所で神と人の差は埋まらないという事でもある。……さて、ステイタスに関しては上限が高すぎるから100年そこらで神との差を埋めるのは不可能、といった具合に恩恵というのは調整されている。レアスキルに関しては制限がない。こっちは神共の娯楽性と人間の可能性を加味した結果だ。それ以前に一人の人間が大量のレアスキルを得ることはまずないしな」
「お前とか一杯レアスキル持ってそうだけど?」
「複数と言っても多くて精々が
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