異伝〜遥かなる記憶 第1話〜(2章開始)
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?年前――――
〜???〜
「もうリース…………どこに行ってたの?お買物を済ませたら店の中にいないんだもの………ねえさん、驚いちゃったわ。」
「………むこうの屋台でおいしそうな匂いがしたから。それよりも………へんなのを見つけたの。」
「へんなの………?」
少女の言葉に首を傾げた娘は少女に促されて、ある場所を見つめた。そこにはある少年が狭い路地内で顔を伏せて座り込んでいた。
「………まあ……」
「…………いきだおれ?………それともくいだおれ………?」
「多分、くいだおれじゃないと思うけど…………でも、よくそんな言葉を知っているわねぇ。………っと、それよりも。」
少女の言葉に苦笑した娘は少年に近づいて声をかけた。
「………ねえ、君。私達の声………聞こえる?」
「……………………」
娘に声をかけられた少年はわずかに顔を上げたが、何も答えず黙っていた。
「よかった…………ちゃんと起きているみたいね。どうしたの………?こんなところに座り込んで。」
「………………」
「………えっと………」
「………おなか、すいてるのかも。あんまりすくとしゃべる元気もでないし………」
何も答えない少年に娘が戸惑っている中、少女は娘に自身の推測を伝えた。
「なるほど………リースが言うと説得力あるわね。………それじゃあとっておきを出そうかしら。」
「………!クインシー・ビルのチョコレート………!?」
「さっき、リースのおやつに勝っておいたんだけど………いいかな?」
「むう………がまんする…………」
「ふふ、良い子ね。………ねえ。よかったら食べて。甘くてとっても美味しいよ。」
少女の答えに微笑んだ娘は少年にチョコレートを差し出した。
「………………」
「クインシーのは最高………ねだんと味のコストパフォーマンスがイチバンだと思う………」
「………だ、そうよ。甘いものは身体も暖まるし、遠慮しなくていいから。」
「………るさい………わ………」
少女と娘の言葉を聞いた少年は途切れ途切れで呟いた。
「え………?」
少年の言葉を聞いた娘が首を傾げた時、少年は顔を上げた。
「あ………」
「………っ………」
少年の表情―――深く濁った暗い瞳で感情のない表情を見た娘と少女は息を呑んだ。
「………さっきから………うるさい………言うとんのや………とっとと………消えろ………たのむから………オレに………かまわんといてくれ………」
「……………………」
「…………ねえさま……………」
「ふむ、なるほどね。そんな風につれなくされたら私だって考えがあるわよ?」
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