暁 〜小説投稿サイト〜
とある科学の傀儡師(エクスマキナ)
第28話 携帯電話
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!もう一回しっかり教えるから!」
「こんなまどろっこしいのいらねえよ」

必死に携帯電話の小さなボタンと格闘しているサソリに、佐天は苦笑いを浮かべた。
「あれを見ちゃうと心配しなくても良さそうですね」

結局の所、なんとかメールを打てるようにはなったがサソリ本人は、かなり疲れたようにグッタリと壁に背中をくっ付けて頭を掻いた。
時刻は夕方を回っていた。

「このめーるとやらを送る時は、『はい』か『いいえ』で答えられる文面で寄越せ」
「悲しい宣言ね」

メールの講習だけで今日が終わってしまった
電話機能は後日かしら

「その文字だったら対応できそうだ」
疲れきった顔で半眼も加速度的に強くなっている。
「分かりましたわ」
湾内は力強く宣言した。

「佐天さんすみません。わたくし達はそろそろ門限がありますので帰りますね」
泡浮が荷物を手にしながら優雅に椅子から立ち上がった。
「そうね.......流石に二日連続で門限破る勇気は出ないわ」
「サソリさん!何か困った事がありましたら、連絡をくださいね。すぐに駆けつけますから」
「ああ、はいはい」

あー、しまった
この娘をどうするか考える時間が無かった
写輪眼が復活すれば、幻術でなんとかなるかな?
まあ最悪、あの娘が嘘を付いているってことにすれば問題なしか
オレがアレを落とした証拠があるわけじゃねえから......

「あのサソリさん!」
グイッと顔を近づけると湾内は、自分の携帯電話の画面をサソリに見せつける。
そこには、無残に壊れた巡回用ロボットが映っていて......
「わたくし嬉しくって!ずっと写真で残してありますの!」

サソリの眠そうな眼が画面を見ると大きく見開いた。

「はっ?!」
!!?
こ、コイツ!
ちゃっかりと証拠を残してやがった

「湾内さーん、帰るわよ」
「はい!では失礼しますね」
「ま、待て!」
サソリが慌て体勢を立て直そうと前に身体をズラすが、負傷した左腕にテーブルの端が当たり痛みに顔を歪ませた。
「いだだ!」
「だ、大丈夫?」

病室の扉が閉まり、部屋にはサソリと佐天だけとなった。
「じゃあ、あたしもついでにサソリのアドレスを登録しておくわね。それにしても、なかなかないわよ女子中学生とメル友なんて恵まれているわね......あれ?」

佐天が見ると頭を抱えてサソリは、何か悩んでいるように項垂れていた。

やべえ
本格的にやばいかもしれん
まさか、証拠を残していたとは......
付き合うって言うのも裏がありそうだな
暫く様子を見るか
下手に動くのマズイな

「さてと、登録も終わったしあたしも部屋に戻りますかね」
サソリの携帯電話をテーブルの上に置いた。
「ああ」

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