第28話 携帯電話
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ってねえと思ったんだが」
サソリは湾内から手を離して、携帯電話を自分の手に入れた。
湾内は、ぽーとしながら握られた自分の腕を見つめ、ハニかんでいる。
この子(サソリ)
無自覚でここまでやるとは!
天性の女泣かせだわ
やるわね
佐天が冷静に分析をした。
携帯電話を持ってきて、ベッドに戻ると御坂を見上げた。
「どうやる?」
「じゃあ、その練習から始めようか」
サソリに力強く握られた湾内は、椅子に座りながら動悸が激しい自分を落ち着かせるように深呼吸をしている。
「大丈夫ですの湾内さん?」
「顔真っ赤ですよ」
「大丈夫です。少し驚いてしまいまして」
「てか、実質登録できてないわよね......また後で見せてもらう感じにします?」
「それも大丈夫です......完璧に覚えましたから」
「!?」
お、覚えた!?
「えっ!ひょっとして、サソリの携帯番号とメールアドレスのこと?」
「はい。メールアドレスが長くて時間が掛かりましたが、一字一句覚えてます。では登録しますね」
慣れた感じで携帯電話に入力すると、サソリ宛にメールを開いて「テストです」と入力して送信した。
直後震える携帯電話。
「ん?」
「あら、湾内さんから来たわね。それも登録しておきなさい」
やっぱ、伊達に常盤台行ってないわこの人達
あれだけの短時間で数字と英記号を覚えてしまう、記憶力が凄いわ
携帯電話に登録し終わった湾内は、嬉しそうに新規登録された「サソリさん」という項目を眺めていた。
「湾内さん、良いの?」
佐天が質問した。
「はい?」
「簡単に男の人にアドレス教えちゃって」
「サソリさんになら別に構いませんわ」
ふふ、世間知らずのお嬢様らしい発言ね
この世界には、そんな無防備な事をすればどんな事になるかを教えてあげないと(大半がテレビやネット調べ)
甘い、甘いわよ
さすがの常盤台もそんな事までは教えないようね
「もしも、サソリが湾内さんが困るほど大量のメールを送ってきたらどうします?」
ビシッと指を伸ばして、湾内を指した。
「そうでしょうか?」
湾内が携帯電話を片手にサソリの方を見た。
「こんなちは......くそ、また間違えた。ボタンが小さ過ぎる」
メールに悪戦苦闘していた。
「消す時は、このボタンを押して消すのよ。違う違う!その下よ」
「全部似たようなボタンにしやがって、ここか?」
「あ!そこは」
唐突に電源が切れる携帯電話。
御坂が頭を抱えた。
「ごめん、ここまでとは思わなかったわ......お年寄り用のラクラクフォンにすれば良かったわ」
「ちっ!」
サソリのイライラが頂点に達したのか、携帯電話を振りかぶって床に叩きつけようとした。
「だめだめ!落ち着いて
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