第28話 携帯電話
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ために現れて、事が済んだら消えてしまう絵本の王子様みたいだ。
でも物語では、最後は見えるようになって幸せになっていた。
自分もそれに倣いたい。
「でも、湾内さんを助けるために巡回用のロボットを落とすなんて、ワイルドな方ですわね」
元気のない湾内に泡浮が赤髪の少年についての話題を振ってみる。
何か自分でも友人の為にしてあげたかった。
「はい、一瞬で三人の方を倒してしまいましたわ」
赤髪の少年の事を話す時に、キラキラとした瞳で嬉しそうに話し出す。
「すごいですわ、その殿方はどちらから?」
「空から降ってきましたわ」
空からですの!?
少女コミックとは違う助け方に衝撃を受ける。
「わたくしの為に飛び降りてきましたわ」
「なかなかワイルドな方ですわね」
それはワイルドなのだろうか?
「それでその方は?」
「わたくしを見るなり慌て、走り去って行きましたの......あの時、わたくしが勇気を持ってはっきりと話し掛けていましたら良かったですのに」
湾内と泡浮が所属する常盤台中学は都市内でも有数の名門かつお嬢様学校であるため、制服だけでも目立ち、不良に絡まれることが多いが
お嬢様学校ということで、一般の学生にも住む世界が違うとの理由で敬遠されることも多い。
そのため、赤髪の少年も湾内の制服を見て逃げ出したのではないだろうかとも考えてしまう。
「このまま一生お礼も言えずに終わってしまうのでしょうか......せめて、現実に居るってだけでも知りたいですわ」
グスンと瞳を潤わせながら、ハンカチで目元を拭く。
泡浮は、少しだけ窓の外を見やる。
湾内さんから、その殿方について話を聴いていましたが
この暑い最中に厚手の黒い服を着ていたらしいですわね......
「湾内さん。部活が終わりましたら、気分転換に喫茶店とやらに寄りませんか?」
泡浮が湾内を誘ってみた。
お嬢様なので、その手の大衆店には行ったことがなかったが、一体どんな所なのだろうかと興味はあった。
「喫茶店ですの?」
「一回だけでも行ってみませんこと?」
******
学校帰りに生涯で初めてとなる「喫茶店」とやらに湾内と泡浮がやや緊張した感じで入場した。
店員が笑顔で接客をしてくれた。
「2名様ですか?」
「!?はい2名様......ですわ」
緊張のせいか日本語がおかしくなっている。
窓際の席に移動し、物珍しげに店内を見渡す。
「わたくし、初めて喫茶店に入りましたわ」
「わたくしも、もっと怖い所かと思いましたが大丈夫みたいですわね」
デザートのケーキを注文して品物が運ばれてくるまで、二人で話しをして楽しんだ。
「あ、そういえば......その殿方の事なんですけど。目立っていたのではないかと思う
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