第二話 鉱脈の先から届く声
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んだ穴は本当に小さい。落とし穴でも、自然の侵食で出来た穴とも言い難い。
何かの力で無理やり……例えば魔法か何かで貫いたかのような綺麗な切れ口のその穴からは、風と共に何かが聞こえてきていた。
思えばおかしな話だった。
本来行き止まりである一方通行の洞窟の奥から風が吹いてくるはずもない。
風が吹いてくるという事はこの洞窟が吹き抜けになっているか、風が発生する何かが奥にあるということだったのだから。
「…………」
ライドは身を乗り出して穴を覗き込む。
薄らと光る光源は、穴の奥から届いているように見える。
どれほどの距離かはわからないが、穴を通して届く程なのだからかなり強い光だろう。
それはつまりかなり力の強い魔石があるという事で……。
「…………あ」
考えに巡らせ、光に魅入られていたライドから漏れた声は、その思考を現実に引き戻すにはあまりにも間抜けで、あまりにも短い一言だった。
その穴は小さく、足を滑らせたとしても何かの拍子に落ちたとしても普段のライドならば堪える事が出来ただろう。
しかし、光に目と心を奪われ、無意識に光に向かって両手を伸ばしていた体勢ではどうする事も出来ず。
「わあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………………」
皮肉にも洞窟の最奥から自らの声を響かせ、その姿を消した。
後に残ったのは、光を消した状態で転がっている照明の魔道具だけだった。
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