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まいどあり
第二話 鉱脈の先から届く声
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さな小石だが、その一つ一つは古代の奇跡が詰まった代物だ。
 生憎この場所ではそれぞれがどんな力を秘めているのか鑑定する事は出来ないが、少なくとも“光源”の力でない事は簡易照明が使用できるか試した時に実証した。

 とはいえ、魔石の魔力量は触れた時の温度で大まかなランクは判断できる。
 歳は若いとは言えライドも一介の魔導技師である。それなりに経験も積んでいるし、一般人に比べれば魔石に触れる機会は圧倒的に多い。
 その経験から判断するに、手にした魔石は3っつ共光源の魔石と同等レベルの魔力量でしかなかった。
 
「多分、3つ合わせてもギリギリ今月分の家賃が払えない位かな……。そうなると、最低一個は魔道具にして……いや、駄目だ。流石にそんなに待ってくれない」

 魔石を眺めながら頭の中で算盤を弾くライドだが、どう考えても今日中に今月分の家賃には届きそうもない。
 そうなると、今回入手した4つ以上に新たな魔石を手に入れる事だが、それが難しい事は当のライドがよく理解している。

「前回ここに来たのが1ヶ月前。その時が2つだったからこれ以上は無い……よねえ」

 魔石の鉱脈が他の鉱石の鉱脈と違う点は、魔石として闇雲に掘っても出てくる訳では無いという部分だった。
 他の鉱石や地中に埋まっている事が多い事から魔石が採取される場所を鉱脈とは呼んでいるが、その実態は魔力の吹き溜まりと言われている。
 
 生物は勿論、自然界のいたる所に存在する魔力は、体内を流れる血液のように、または、絶えず循環している水のように世界中を流れていると考えられている。
 その過程において、余剰となった魔力が留まり、固体化する場所がある。

 それが鉱脈と呼ばれる場所だった。

 つまり、一度魔石を撮り尽くしてしまうともう一度魔石を得る為にはある程度の時間を待たなくてはならず、鉱脈を知っている者が必ずしも裕福ではない理由でもあった。
 特に、ライドが知っている海岸の洞窟は話に聞くどの鉱脈よりも小規模で取れる魔石の数も非常に少ない場所だった。
 それでも、魔石商人から購入している他の魔導技師よりは遥かに恵まれている筈なのだが……。

「取れる魔石が軒並みショボイのが泣けてくる……」

 それでもライドは手に入れた3つの魔石を巾着に入れて大事そうにザックに入れると、狭い洞窟の中で反転する。
 一応、洞窟はこの場所よりも奥へと続いているが、最奥まで行っても鉱脈が無いのは最初の探索で確認済みだ。
 本来ならばもう少し探索して確実に家賃分の稼ぎを確保したい所であるが、魔力量の少ない魔石の中にも希少価値の高い力を有しているものも有るには有る。今はそれは期待するしかないだろう。
 
 そんな事を考えながら、多少後ろ髪を引かれる思いのまま帰る意思を固めたラ
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