南方接触事案
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工藤氏は戦艦"和泉"の艦長を務めていました。
伊賀崎:さぁ、おかけ下さい。
工藤:これは尋問か何かか?
伊賀崎:いえいえ、そんな御堅いものじゃないですよ、ちょっとしたおしゃべりですから。
工藤:おしゃべりね……。
伊賀崎:ではさっそく、あなた方が戦った"敵"についてお聞かせ願いますか?
工藤:水鬼の事か?
伊賀崎:水鬼?
工藤:他の艦員達は水鬼と呼んでいた、"みず"に"おに"と書くらしい。
船乗りを海中に引きずりこんだり、水害を巻き起こす鬼だとさ。
あんな姿を見ちまったんで艦員はすっかり脅えてた。
変な名前もつくもんさ。
伊賀崎:ではその水鬼について。
工藤:まさしく"化け物"とはあのような奴らを言うのだろうな。
伊賀崎:化け物……というと?
工藤:それ以外に何がある?
私は少なくとも水上を進みながら砲弾を撃ちまくって軍艦を沈める兵など
知らない。笑い話にもならん光景だったな。
伊賀崎:相手側はボートなど、何か船舶を使って移動を?
工藤:いや、そうじゃない。海の上に立っていてそのまま滑るように移動していた、
比喩じゃなくそのままの意味だ。
伊賀崎:ふむ、では彼ら……ええと水鬼の姿は見ましたか?
工藤:双眼鏡越しだが、そうだな……。肌は真っ白だった。
髪も真っ白だったが黒髪の奴もいた、歯を剥き出しにした不気味な怪物に
乗っている奴も見かけたし頭に角が生えている奴もいた。
それから"彼女ら"と言った方がいいな。全員女だった。
伊賀崎:女性ですか……。男性と見て取れる者は?
工藤:一人たりともいなかった。私はともかく、他の艦員にも男を見たやつは
いなかった。
伊賀崎:なるほど。
では次にその水鬼の使っていた兵器についてお話いただけませんか?
工藤:ああ、あの武器は……、"反則"だ。一方的な負け試合だった。
我々は2時間近く戦闘を行ったがそれ自体が奇跡だ。
伊賀崎:他の方に報告によると比較的大きな火砲を腕に装着していたり背中に
背負っていたと。しかし―
工藤:軍艦を沈める威力はない言いたいのだろう?
艦に被弾した瞬間を見れば考えが変わるさ。
伊賀崎:詳しく教えていただけますか。
工藤:砲の大きさは迫撃砲かそれより小さいぐらいにだった。
陸軍の基地で見たことがある。
拡声器による警告も無視して艦隊のすぐ近くまで接近していた。
いよいよ機銃による警告射撃って時に水鬼どもは散り散りに移動して
砲撃してきた。
至近弾ででっかい水柱が上がって皆、大慌てさ。次に気づいた時は船首が
黒焦げになっ
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