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深海棲艦の発生と艦娘の出自記録
南方接触事案
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お話しを伺いたいのですが。
川崎:はい、大丈夫です。
伊賀崎:では濃霧を観測した当時の事を教えていただけますか?
川崎:当時私は見張り員をしていました。哨戒艇は規定の針路をとっていました。
   霧は……すぐに確認できました。
   出港して4、5時間ほどだったと思います。
伊賀崎:発生している霧については何か気になる事はありませんでしたか?
川崎:そうですね……。
   とにかく霧の範囲が尋常ではないくらい広かったのを覚えています。
   北太平洋で海霧はいくつか見ましたがあんなに大きなものは初めてです。
   こちらから見た限りでは島をすっぽり覆っていましたから。
伊賀崎:ではその周辺で気になった事などは?
川崎:うーん……、特に無かったと思いますが。
伊賀崎:どんな些細な事でも良いので。
川崎:そうですね。
   海から女の声が聞こえたとかその場にいた他の兵から聞きましたが……。
伊賀崎:女の声ですか?
川崎:船乗りを怖がらせるためのよくある怪談でしょう。
   それに哨戒艇が沈められる事件もありましたから皆、気が立っていましたし。
伊賀崎:なるほど、それでその後は?
川崎:はい、霧の発生を確認してその後に調査命令が出ました。
   なんでも父島基地との連絡が取れないとの事で。
   それで霧の境界沿いに針路をとっていたところに。
伊賀崎:攻撃されたと?
川崎:はい、霧の中からでした。艦の数も相当数いたと思います。
   かなり……撃たれてましたから。
伊賀崎:艦の姿は見ましたか?
川崎:それが不思議な事に艦の姿は見えませんでした。
伊賀崎:しかし、かなりの攻撃を受けたはずですが。
川崎:それはそうなのですが艦の姿はまったく。
   私も消火活動を行っていたのでちゃんと見たわけではありませんが。
   相手も霧の中から撃ってきたようですからそれで見えなかったのかも。
伊賀崎:なるほど、分かりました。では今回はここらへんにしておきましょう、では……。
川崎:あの。
伊賀崎:はい?
川崎:状況が状況だけに幻覚かもしれませんが。
伊賀崎:幻覚? 何か見たのですか?
川崎:確かに艦は見えませんでしたが攻撃の受けた方向に……。
   霧の方にうっすらと人影がありました。
伊賀崎:人影?
川崎:あの状況の中ずっとこちらの方向を向いていました。
   海の上にそのまま立っていて……。
   ずっとこちらを見ていました。
記録終了


南方敵勢殲滅・調査作戦─1929年11月27日
第四十四号哨戒艇の事件を受け、軍令部第一局より未知の敵性勢力の撃退と調査の為、艦隊が編制され攻略作戦が行われました。


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