■■SAO編 主人公:マルバ■■
二人は出会い、そして◆蘇生
第十七話 計画
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。いつもはシリカが身を起こすと同時に止まる音楽は、しかし、何故か今日は止まらなかった。シリカの聞いたことのない音楽が彼女の耳を刺激する。懐かしい感じのする歌だ。どこから流れているのだろう、と思ってあたりを見渡すと、ベランダに人影があった。
侵入者か、と思って悲鳴を上げかけたが、その直前で昨晩自分がどこで寝てしまったのかを思い出して顔が一気に赤くなるのを感じた。
そんなシリカのことを知らずに、ベランダのマルバは歌い続ける。力強く、しかし優しく、彼の歌声は響く。
〜♪〜
マルバは振り返った。シリカがこちらを見ているのを知ると、恥ずかしそうに顔を背ける。
「お、おはよう、シリカ。」
「おはよう、ございます……」
互いにぎこちない挨拶。
しばらく見つめ合い、何を言うべきか考えた後、二人が同時に発した言葉は……
「ごめん!」
「すみませんでした!」
見事にかぶった謝罪の言葉は二人にいつもの調子を取り戻させてくれた。ひと通り笑いあったあと、出発の準備を整える。シリカはマルバに尋ねた。
「朝歌ってた歌、あれなんて歌なんですか?」
「あー、あれね。『森は生きている』っているっていう曲。昔見た古いオペラの劇中歌でね、一度聞いたらすっかり気に入っちゃって、よく歌ってるんだ。」
「歌、うまかったですよ。」
「ありがとう。」
マルバは照れくさそうに笑った。
「この歌を聞くとさ、世界の全てのものが生きてるんだって気がするんだよね。現実世界では確かに風も雲もせせらぎも生きていたかもしれないって思うけどさ、この世界はそういうものって全部偽物でしょ?それでもこの世界のものも生きているって気がするのはなんでだろうね。」
シリカはマルバの言葉を聞いてしばらく考えて言った。
「そもそも生きているってどういうことなんでしょう?」
「うーん……そういえば……なんなんだろう?」
二人はしばし考え込んだ。
「生きることを『生まれて、死んでいないこと』と定義したらどうだと思う?」
「それだと、この世界でポップしたモンスターも生きていることになりますね。……あ、でも生まれたとか死んだとかが分からないものってのはどうなんでしょうか?」
「『小川のせせらぎ』とかまさにそれだよね。うーん、それじゃ、『存在しつづけること』だったら?」
「……いいかもしれません。……あ、でも、死んじゃったら『生きて』いないですよね……」
「?」
「ええと、つまり、生き物はいつか死ぬじゃないですか。でも死んでも身体は存在していると思うんですけど……」
「……!あぁ、なるほど。ええと……ううん……じゃあ、どうしよう?」
「……結局生きることってよく分かんないですよね。生きているって思うから生きているだけなのかもしれません。」
「うん、『私は生きている
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