第35話《隻竜》散る、その先に見た世界
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んなにも余裕なのだろうか。対するライリュウは笑える余裕もなく、むしろ押しているのに逆に押されているような状況だ。ライリュウには後ろで倒れている親友の《黒の剣士》のような反応速度も、その妻である《閃光》のような素で出せるスピードもない。あるとすればーーー
(もっとオレに力を・・・《オーバーロード》!!)
圧倒的なスピードを出す代わりに、その代償として脳に多大な負担を掛ける覚醒能力のみ。それは乱用すれば精神を崩壊させ、廃人となるデメリットも存在する神や悪魔にも匹敵する能力。
(さっきスカルリーパー戦で結構使っちまったけど・・・こいつを倒すまで耐えてくれ!オレの脳!オレの身体!)
つい先ほどまで存在した王ーーー白骨の処刑獣を滅殺する際に今までにないほどの長時間の間、この能力を発動した。これ以上乱用すれば気絶で済むレベルでは収まらない。だがそれでもいい、この男を殺し、世界を終わらせるまで耐えられればそれでも構わない。
ライリュウの見る世界は止まったかのように遅く見えた。この少年は脳を活性化し、周りの動きをスローモーションで再生、一時的に神速のバーサーカーへと変貌、覚醒する。
神速のバーサーカーの猛攻が始まった。先ほどまで少年の剣を防いでいた盾はその猛攻に間に合わず、威力と速度に圧倒されている。なんとか盾で己を守ろうとしても、ライリュウの剣がそれを阻む。
(いける・・・!あと少しで・・・全部終わる!!!)
彼は最後の一撃として、悪魔の大剣を真っ直ぐに、茅場の心臓へ突き刺そうとーーーしたが、盾に阻まれ剣が折れる。
(・・・え?なんで・・・)
剣が折れたのは耐久値がなくなったから、それなら分かる。でも盾がラッシュに追い付いた理由が分からない。その理由はーーー突如脳を駆け巡った痛みで理解した。
(しまった・・・《オーバーロード》が・・・)
ーーー《オーバーロード》、強制終了。
「最後は本気でどうなる事かと思ったよ・・・だが」
疲労でしゃがみこみ、肩で大きく呼吸をしているライリュウをたった今まで斬られていた茅場が見下ろす。
「私の勝ちだ」
今まで全く向けられなかった《神聖剣》の矛がーーー
「さらばだ・・・ライリュウくん」
ーーーライリュウの胸を貫いた。
その光景は残酷な物だった。彼の親友、《黒の剣士》キリトは彼の名を叫び、その妻《閃光》のアスナは声も出せず、口を両手で覆う。侍クラインと巨漢商人エギルは絶句するだけで、驚愕と哀しみ以外の反応を顔に出せないでいる。
(あぁ・・・エネルギー切れで最後は心臓を串刺しかよ・・・)
胸を貫かれ、視線をフォーカスして左上に見える己の命のゲージを見て、そう心で呟いた。
(こうなるなら、未来に「ただいま」っ
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